皐月賞馬ミュージアムマイルが同世代を圧倒 母の父ハーツクライと相性良好の配合パターンも
血統で振り返るセントライト記念
【Pick Up】ミュージアムマイル:1着
父リオンディーズは、ロードカナロア、ドゥラメンテ、ルーラーシップ、レイデオロなどと同じくキングカメハメハの息子で、現役時代、朝日杯FSを勝ってJRA賞最優秀2歳牡馬に選出されました。ただ、折り合いに難しさがあり、屈腱炎により日本ダービーを最後に引退したため、能力に釣り合うほどの競走実績は挙げられなかった印象があります。
エピファネイアの半弟、サートゥルナーリアの4分の3兄という良血が最大のセールスポイント。初年度の種付け料は100万円でしたが、じわじわと評価を上げ、2025年の種付け料は400万円。天皇賞(春)を勝ったテーオーロイヤルをはじめ、リプレーザ、アナザーリリック、インダストリア、ジャスティンロック、サンライズホークといった重賞勝ち馬をコンスタントに出しています。現2歳にはコスモス賞を勝ったアスクエジンバラ、新馬戦をレコード勝ちしたクレパスキュラー、新馬戦を5馬身差で圧勝したルージュダリアといった素質馬がいます。
母ミュージアムヒルは芝1200〜1600mを得意とし、最終的には3勝クラスに在籍しました。ミュージアムマイルはその初仔で、新潟2歳Sで3着となったフェスティバルヒル(父サートゥルナーリア)が2番仔です。繁殖牝馬として非凡な資質を備えています。
エピファネイア、リオンディーズ、サートゥルナーリアの三兄弟は、いずれも母の父ハーツクライと相性良好。エピファネイアはエフフォーリアとジョスランを、サートゥルナーリアはフェスティバルヒルを、リオンディーズはミュージアムマイルとインダストリアを出しています。この配合パターンは注目です。
血統で振り返るローズS
【Pick Up】カムニャック:1着
「ブラックタイド×サクラバクシンオー」という組み合わせは、名馬キタサンブラックと同じ。JRAでデビューした800頭近いブラックタイド産駒のうち、たった2頭しかいないGI馬が、いずれも「母の父サクラバクシンオー」から誕生しているのは偶然とは思えません。
ブラックタイド産駒の収得賞金1〜3位はキタサンブラック、カムニャック、フェーングロッテン(ラジオNIKKEI賞)の順ですが、フェーングロッテンも2代母の父にサクラバクシンオーが入っています。
母ダンスアミーガは、関屋記念や中京記念で4着となったマイラー。すでにキープカルム(しらさぎS/父ロードカナロア)を産んだ実績があります。ちなみに「ロードカナロア×サクラバクシンオー」の組み合わせも大成功しており、サトノレーヴ、ファストフォース、テイエムトッキュウなど活躍馬が目白押し。「母の父サクラバクシンオー」と相性のいいブラックタイド、ロードカナロアを選択したのは好判断だと思います。
3代母ダンスパートナーはサンデーサイレンスの初年度産駒で、オークスとエリザベス女王杯を勝ちました。ダンスインザダーク(菊花賞)やダンスインザムード(桜花賞、ヴィクトリアマイル)の全姉にあたる良血です。
今回は芝1800mのスピード勝負を制しましたが、本質的には距離が延びたほうがいいタイプで、直線も長いほうが合っています。秋華賞のあと、2200mのエリザベス女王杯、2400mのジャパンCのどちらを選択するかは分かりませんが、いずれにしてもこの馬が力を発揮しやすい条件だと思います。
知っておきたい! 血統表でよく見る名馬
【フェアリーキング】
3歳春、アイルランドでデビューしたものの、レース中に種子骨を骨折し、1番人気を裏切り11頭立てのしんがり負け。競走馬としてのキャリアを断念し、種牡馬入りしました。
大種牡馬サドラーズウェルズの全弟で、ヌレイエフの甥。種牡馬入り当時は前者の仔がデビュー前だったので、種付け料は安く、繁殖牝馬の質も高いとはいえませんでした。しかし、初年度産駒のファラオズディライトがアイルランドの2歳GIを制覇。その後、エリシオ、オース、ファルブラヴなどを出すなど非凡な能力を発揮しました。
2400mをこなす仔も出しましたが、大半の産駒は仕上がりの早いスピード型で、全兄サドラーズウェルズとはタイプが異なります。わが国ではシンコウキングが高松宮杯(GI・芝1200m)を勝ちました。オーストラリア産のエンコスタデラゴが同国で芝1400mのGIを勝ち、引退後は2年連続リーディングサイアーとなりました。その曾孫のズースターは2024-25年の豪リーディングサイアーとなっています。
血統に関する疑問にズバリ回答!
「ジャパンダートクラシックの有力馬は?」
10月8日(水)、大井競馬場で行われます。3歳ダート三冠の最終関門です。有力馬は以下のとおり。現段階で確定しているわけではなく、だいたいこのあたりが出るのではないか、という想定です。
ナチュラルライズ(父キズナ)
ドンインザムード(父アジアエクスプレス)
ナルカミ(父サンダースノー)
クレーキング(父ナダル)
アドマイヤデイトナ(父ドレフォン)
ルクソールカフェ(父American Pharoah)
カナルビーグル(父リアルスティール)
マウンテンローレル(父ヘニーヒューズ)
注目はナチュラルライズの三冠が成るか、という点。昨年の優勝馬フォーエバーヤングは、アメリカ遠征により春の二冠には出走していません。したがって、ナチュラルライズが優勝すれば、2024年に始まった新しい競走体系のなかで初の三冠馬となります。能力の高さと気性の危うさがひと夏を越してどう変わったのか。まずは己との戦いとなります。
有力馬の父を見ると、トップクラスの人気種牡馬ばかり。キズナ、ドレフォン、リアルスティールは、芝も含めた総合種牡馬ランキングでも10位以内に入っています。