【秋華賞予想】波乱もありえる中距離戦 人気馬カムニャックは二冠達成なるか
迎え撃つ有力各馬の評価は?
2000mの「秋華賞」が創設されてここまで29回。誕生した「牝馬三冠馬」は6頭に達する(この間、牡馬三冠馬は3頭)。牡馬の三冠と異なり、牝馬三冠の距離は「1マイル-1マイル半」に集中しているから納得の記録だろう。
「桜花賞、秋華賞」の二冠馬は3頭。一方、「オークス、秋華賞」の二冠馬は5頭もいる。当初は、桜花賞1600mの好走組がオークス2400mの好走組より成績が良かったが、最近10年の秋華賞馬のうち5頭がオークス馬(春の二冠馬を含む)。最初のころに比べ、こなせる距離の幅が広い中距離型が有利になった。
これには「強い牝馬」の出現が関係すると思われる。かつてAクラスの牝馬の数は限られたが、近年、明らかに全体レベルは上がった。距離限定のスペシャリストは別にして、2000-2400mのビッグレースに対応できる総合力が求められるといえる。
人気のカムニャック(父ブラックタイド)は体調一歩の時期もあったが、春以降、3歳後半から強くなったキタサンブラックと同配合形らしく、豊かな成長力を示し始めた。馬体もたくましくなっている。オークスよりローズSの方が明らかに強かった。キタサンブラックは2分08秒3も要した2017年の不良馬場の天皇賞(秋)2000mの勝ち馬。カムニャックも少々の渋馬場は苦にしないだろう。
外枠は決して有利ではないが、多くの3歳牝馬の持つ死角は馬群にもまれること。この枠順なら先行力も身につけた自在脚質が生きてくる。2015年のミッキークイーンは18番枠だった。馬番2桁の勝ち馬が最近10年間に5頭もいる。
3歳牝馬同士の対戦なので波乱はありえる。3歳秋なのに戦歴4戦で勝った馬が史上4頭もいる。セナスタイルの3戦はさすがに少ないが、前走、再三の不利を克服してカムニャックと0秒3差だけ。上がり34秒0は最速だった。輸入された父ソットサスは不良馬場の2020年の凱旋門賞を勝っている。厳しいレースでこそ底力発揮がある。
今年は久しぶりにローズS組のレベルが高い。好位で失速せず0秒2差2着テレサの母の父ナサニエルは、キングジョージVI世&クイーンエリザベスSを3勝、凱旋門賞2勝などG1を11勝もした女傑エネイブルの父でもある。
同じアドマイヤマーズ産駒のエンブロイダリーも、父の距離適性の印象だけで評価下げは危険。母の父クロフネは牝馬のGI馬を数多く送っただけでなく、母の父となっても牝馬に影響力を伝えている。クロノジェネシス、スタニングローズが秋華賞を勝っている。
近年、好走馬の多い紫苑S組では、直線の伸びが光ったジョスランが侮れない。