フォーエバーヤングの快挙に涙「2番手に行った時点で勝ったと思った」

──今週は、ブリーダーズカップの話題から。フォーエバーヤング、やってくれましたね。

小牧　あれは泣いたねぇ。朝の仕事が終わって、風呂から出たところで「あ、ブリーダーズカップやわ！」と急に思い出して、慌ててスマホで見たんやわ。そしたらちょうどゲート裏のシーンで間に合った。矢作さん、むっちゃ喜んでたね。涙が出たわ。

──その小牧さんの涙というのは…。

小牧　知り合いが勝ったということもそうやけど、やっぱり昔だったらあり得へんことやから。あそこで勝つのがどれだけすごいことか、競馬の世界にこれだけいればわかるからね。

──しかも、堂々たる横綱相撲でしたね。完璧なレースでした。

小牧　僕ね、2番手に行った時点で勝ったと思った。あとは誰も絡んでこなければいいなと思いながら見ていたけど、3着の馬をしっかり内に閉じ込めながら、凌ぎ切ったもんね。

──瑠星騎手、すごくタイトに回ってきた。さすがだなって。

小牧　上空からの映像を見たら、ホンマにタイトやった。まぁ今はJRAの競馬もあれくらい厳しいけどね。それにしても、すごいことやで。本当によかった。来年は、ぜひ現地に見に行きたいわ。ケンタッキーダービー、凱旋門賞、ブリーダーズカップの3つは、ぜひ見に行きたい。競馬の世界で生きてきた者として、一度は自分の目で見ておかなね。

──瑠星騎手といえば、加矢太さんとすごく仲がよくて。加矢太さんも喜んでいるでしょうね。

小牧　僕ね、さっき車のなかで加矢太の気持ちを考えてた。加矢太にしてみれば羨ましいやろうし、瑠星のあんな活躍を見たら、気持ちというか距離がちょっと離れたりしないかなぁって。なんていうのかな…、遠い存在になってしまうというかね。


──刺激は受けるでしょうが、そんなことはないでしょう。戦っている舞台が違いますしね。

小牧　そうやね。加矢太は加矢太で、去年はリーディングを獲ったし、国体(国スポ)も連覇したし。お互い戦う舞台は違うけど、それぞれの道を極めていってくれたら最高やね。

──小牧さんも加矢太くんを通して瑠星騎手とお付き合いがあると思いますが、彼の変化みたいなものは感じますか？

小牧　去年くらいからかな、一流のジョッキーになったなと思う瞬間があったわ。よう追ってくるし、大きな舞台をたくさん踏んできたこともあって、度胸が違うなって。やっぱり慣れというか、経験の賜物やで。

──経験という意味では、矢作先生のおかげですね。

小牧　うん、本当に矢作さんのおかげや。僕もね、交流レースが少なかった頃から、師匠の曾和先生がいろんなところにバンバン行かせてくれてね。だから、ジョッキー人生を振り返ったとき、今の僕があるのは曾和先生のおかげやなぁと思うもんね。


──もし小牧さんが調教師になったら、弟子を育ててみたいと思いますか？

小牧　何とも言えんねぇ。今の子は難しいやろうし…。なにしろ下手に怒られへんしね。それに、調教師になったとしても、10年くらいしかできへんから。何とも言えんわ。

──さて、先週の競馬ですが、17戦7勝、2着4回3着4回。複勝率88.2%と、馬券は小牧さんを買わないと話にならないくらいの活躍で。

小牧　いつも言うけど、いい馬に乗せてもらっているから。今ね、調教師のリーディング争いが激しくなってきて。田中一巧厩舎、飯田良弘厩舎、高馬元紘厩舎、森澤友貴厩舎、長倉功厩舎あたりが上位でひしめき合ってんねん。その争いがあるから、こっちも意識するというか、とにかく勝たなアカン。その点、森澤厩舎とか、僕は2着ばっかりやったなぁと思って、ちょっと反省や。逃げ馬を追いかけ過ぎて負けてしまったレースもあったし…。

──10月30日の7R(C2二/ダ1400m)のバイルシュタイン(1番人気2着)ですね。

小牧　そうそう。あれは僕の取りこぼしやわ。あれ、自分で攻め馬をしている馬なんやけど、逃げた馬が強いって聞いていたから、ついつい追いかけ過ぎてしまった。そうしたら、ゴール前で吉村にクビ差だけ差されて。ジッとしていたら勝てたのになぁ。勝つために僕を乗せてくれているわけやから、残り2カ月、しっかり期待に応えなアカンなと思ってます。

──今週の木曜日は、いよいよ楠賞ですね。

小牧　うん。ベラジオドリームの調子はいいし、いい枠(6枠8番)が当たったからね。ここはなんとしても勝ちたい。久しぶりに力が入るわ。

── 一番のライバルは…。

小牧　ぎふ清流Cと秋の鞍で負けた吉原(寛人騎手)のケイズレーヴでしょう。1400mやったらね、逆転の目は十分にあると思ってる。レースやから何があるかわからんけど、ベラジオは今まで自分の適性じゃないところを走ってきたからね。1400mこそが本領発揮の場やと思うし、なんせ賞金は2000万円。スカッと勝って宴会したいわ(笑)。