
▲小牧太騎手が松本好雄オーナーとの思い出を回顧(撮影:稲葉訓也)
先週の『太論』でお伝えした通り、13日の園田5Rで久々にガンバルフトシに騎乗した小牧騎手。オーナーの伊藤永二郎さん、中央時代の元エージェント・淨閑延浩さんが現地で見守るなか、好位追走から直線で早々に逃げ馬を競り落とし、1番人気にふさわしい堂々たる勝利を収めました。
今回はそのガンバルフトシの回顧と、ファンの質問に答える形で、先のエリザベス女王杯を勝利した戸崎騎手の技術について言及。最後には、昨日お別れ会が行われたという松本好雄オーナーとの思い出も語ってくれました。
(取材・構成=不破由妃子)
1年9カ月ぶりのタッグで見事に勝利! ガンバルフトシの園田3勝目を飾る
──先週木曜日の日岡山公園スプリント(C3・ダ1230m)では、約1年9カ月ぶりにコンビを組んだガンバルフトシを見事に勝利に導きました。『太論』では、馬名が決まったときから追いかけてきたので、なんだかとても感動して…。
小牧 馬主の伊藤(永二郎)さんと、ようやく口取り写真が撮れましたわ。伊藤さんの馬ではビッグリヴァーサルでも勝っているけど、ガンバルフトシは中央で苦しんでいた僕を応援するために買ってくれて、馬名にも僕の名前を入れてくれてね。今回、園田にきてから初めて乗ったんやけど、メンバー的にチャンスがあるなと思っていたので、ホンマに勝ててよかったです。いいレースもできたし。
──1コーナーは内々で回って、向正面で外に出してジワッと上がっていきましたよね。その時点で、ほかの馬とは手応えが違ったので、これは勝つなと思いながら見ていました。
小牧 直線は手応えほど伸びなかった印象やけど、最後まで余裕はあったね。以前に乗っていた頃と大きく変わった感じはないものの、直線ではしっかり脚を使っていたし、いい勝ち方ができたなと思うよ。
──送っていただいた口取り写真、みなさん本当に素敵な笑顔で。すごくいい写真!
小牧 僕もそう思うわ。みんな楽しそうでね。

▲ガンバルフトシの口取りの様子(提供:小牧太騎手)
──中央時代の最後のエージェント、淨閑さんも応援に駆けつけてらしたんですね。
小牧 そうそう。ガンバルフトシに僕が乗るということで、応援にきてくれたみたい。いいタイミングできてくれたね。
──写真の右端にいらっしゃるのは、永井(考典)騎手ですか?
小牧 うん。今年の5月に彼が乗って連勝したでしょう。そのときに、ちゃっかり僕も口取り写真に入れてもらったから(笑)。
──そうでしたね。しかも、ド真ん中に立ってた(笑)。
小牧 それにしても、ガンバルフトシに小倉で乗ってから、1年9カ月も経つんやなぁ。時が経つのはホンマに早いわ。
──ホントですね。なにしろ、今年も残すところ1カ月半ですから。先週も5勝をマークし、200勝まであと11勝。完全に大台が射程圏に入りましたね。
小牧 うん、もうちょいやね。ただ、最近は難しいなぁと思うこともあってね。連勝中の馬に乗ることが多いから。
──確かに。今週もホウオウトランプ(3連勝中)、デイムサンライズ(2連勝中)、ワンダーブリング(3連勝中)などが入っていますね。当然ながら、人気必至で。
小牧 少しずつ相手のレベルが高くなっていくから、上手いこと乗って連勝してきたような馬は、ちょっと厳しい戦いになりそうや。人気はするやろうけど、決して楽じゃない。しっかり乗らんとね。
──では、最後にファンからの質問をひとつ。「『太論』はもちろん、東スポの予想コラムも見ています。先週のエリザベス女王杯は、◎ー▲で見事に的中されていましたね! 戸崎騎手とは地方から移籍してきたという共通点がありますが、小牧さんから見て、戸崎騎手はどんな技術を持ったジョッキーだと思いますか?」。
小牧 彼はそつなく乗るし、“自分の騎乗”というものを持っているような気がする。あとは、直線でガッツリ追ってくるタイプではないぶん、道中の折り合いをつけるのが上手いんじゃないかな。

▲レガレイラとのコンビでエリザベス女王杯を制した戸崎騎手(c)netkeiba
──フォームも独特ですよね。
小牧 そうそう。そのあたりもね、“自分”を持ってるんじゃない? 当たりも柔らかいしね。今日(17日)はね、神戸でメイショウの松本好雄オーナーのお別れ会があるんです。僕も参加させてもらうんやけど、戸崎もくるんちゃうかな。
──小牧さん、ここにきてメイショウさんの馬にたくさん騎乗されていますものね。
小牧 園田にきてからもお世話になってます。松本オーナーは、お会いすると必ず「頑張ってるな」とか「元気か」とか声を掛けてくださる方で。メイショウマンボの引退レースは僕が乗ったからね。
──そうでしたね。2017年の阪神牝馬Sでした(14着)。
小牧 そのときにね、松本オーナーに「悪いな、小牧」って言われたんです。当時のメイショウマンボは全盛期をとうに越えていたから、そういう意味での「悪いな」だったんだと思う。その一言は、すごく覚えてるよ。それでもね、確かにGI馬の背中をしてた。その感触もよく覚えてるわ。
(文中敬称略)