父パレスマリスの今後にも注目

マイルCSを制したジャンタルマンタル(c)netkeiba
断然の1番人気に支持された4歳牡馬ジャンタルマンタル(父パレスマリス)が、好スタートから理想の好位3番手につけると、危なげなく直線抜け出し「1分31秒3」のコースレコードタイ記録での完勝だった。
わずか10戦目にして牡牝を問わず出走できる1600mのGI「朝日杯FS、NHKマイルC、安田記念、マイルCS」を完全制覇の偉業達成となった。
すでに輸入されている父パレスマリス(その父Curlin)は、初年度2024年の種付け頭数「262頭」、2025年の交配数も「237頭」とされている。来年は再び250頭を大きく超える交配数が発表されることになるかもしれない。圧倒的な総数を誇るサンデーサイレンス系ではないところも大きな魅力なのだろう。今後、最注目の種牡馬となった。
伏兵トウシンマカオ(父ビッグアーサー)が先手を主張したペースは「前半800m45秒9-1000m通過57秒7→」。そこから離れた3番手で追走したジャンタルマンタルは、自身の上がり3ハロンが33秒1なので、1000m通過は「58秒2」。もっとも無理のない理想のペースだった。先行したジャンタルマンタルに連続して最後の2ハロンを11秒そこそこでまとめられては、後続はどうすることもできなかった。
父パレスマリスは12FのベルモントSを勝っている。母インディアマントゥアナも芝11FのG3を勝っている。折り合い自在の脚質であり、体型からみても中距離は十分にこなせるタイプ。皐月賞3着は前半1000m通過「57秒5」のペース追走が3歳春にしてはあまりに速すぎたためで、距離が敗因ではない。5歳になる来季は、例えば秋に日本にいるなら天皇賞(秋)制覇も十分に可能と思える。ジャンタルマンタルの来季が楽しみだ。
2着争いはジャンタルマンタルを射程に入れるように追走した馬たちの大接戦。少なくとも前半1000mを58秒台中盤の決して厳しくはないペースで追走の形になったので、多くの馬に脚があった。上がり32秒台で突っ込んだ馬もいた。
ガイアフォース(父キタサンブラック)は、本当は富士Sと同じようにジャンタルマンタルの前の位置を取りたかったと思えるが、今回は好スタートのジャンタルマンタルが途中で下げる気配がなかった。最後は割って伸びて地力で2着を確保したから能力は出し切っている。これでペースを問わず芝のマイル戦6回の上がりはすべて「33秒台」。1分31秒台で乗り切った回数は4度目になる。一瞬の爆発力に欠けるのは確かで、実はジャンタルマンタルもスパッと切れる馬ではないので、富士Sのように逆転できるのは、ライバルより早めに前の位置を確保することが条件になりそうだ。
いつもより前方につけて、上がり33秒0で3着したウォーターリヒト(父ドレフォン)は、鞍上の好騎乗と、直線に坂のない京都が合っていた。まだ4歳、馬体もひと回り成長していた。これからさらにパワーアップしてくれるだろう。
4着にとどまったが、上がり最速の32秒6で突っ込んだオフトレイル(父Farhhファー)は非常に惜しい4着だった。巧みにインから進出できたが、多頭数だから仕方がないが直線がもっとスムーズなら2着もあったかもしれない。
2番人気の7歳ソウルラッシュ(父ルーラーシップ)は、1分31秒7(自己最高記録と0秒1差)で乗り切っているのだから、衰えや陰りはまったくなかった。ただ、全体に落ち着いた流れになり、レースの上がりタイムが同馬には速すぎた。