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「競馬の神様は意地悪やわ」落馬負傷の幸騎手への想いと、武豊騎手の“無ブレ”の秘密

  • 2025年11月25日(火) 18時01分
太論

▲先週の落馬事故に心を痛めている小牧騎手(撮影:稲葉訓也)



水曜日の3連勝を含め、先週も計5勝をマークし、200勝の大台まであと6つというところまできました。しかし、今は自身の勝ち星よりも、先週の落馬事故に心を痛めている様子で…。「幸くん、ただ一生懸命頑張っているだけなのに、競馬の神様は意地悪やわ」と、同郷である幸騎手の気持ちを慮る小牧騎手。

今週の『太論』では、改めて身が引き締まる思いがしたという先週の落馬事故についてと、ファンの質問に答えるかたちで武豊騎手のすごさを語ってくれました。

(取材・構成=不破由妃子)


幸くん、復帰したばかりなのに競馬の神様は意地悪やわ



──先週の『太論』で、「来週の騎乗馬は連勝中の馬が多いから、人気にはなるやろうけど楽には勝てないかも」とおっしゃっていましたが、実際はホウオウトランプが4連勝(11月18日・園田10R・B1B2)、ディザーヴユーが3連勝(11月19日・園田12R・C1)、ワンダーブリングも4連勝(11月20日・園田10R・C1一)を決めましたね。小牧さんご自身も、19日の水曜日には10R、11R、12Rと3連勝。先週も大活躍でした。

小牧 上手いこと乗れたし、みんな強かったわ。ディザーヴユーは、今回もゴール板を過ぎてから1周回ったけどね。またウイニングランをしてしまった(苦笑)。

──ああ、ナイター最終日の最終レースで、勝利後に止まらなくなった馬ですね。突然のウイニングランに、お客さんが盛り上がっちゃったという(笑)。

小牧 そうそう。ホンマに止まらんね、あの馬は。ゴールして、さらに1周して、もう1回ゴール板を過ぎたあたりで止まったわ(笑)。

──乗っている小牧さんは大変でしょうが、ある意味、ファンサービスだったり(笑)。

小牧 まぁね。今回は、あえて返し馬をしなかったのがよかった。前回の返し馬では引っ掛かって引っ掛かって。持って行かれそうになったくらいやから、気を付けて乗らんと。そういえば、土曜日には落馬事故があったね。心配で、何度もレースを見てしまった。

──幸さん、浜中さん、高倉さんが落馬。負傷により、以降のレースは乗り替わりになってしまって。

小牧 すごく気になってんねん。高倉には、さっき電話したところなんやけど。

──報道によると、高倉さんは両足の負傷とのことですが。

小牧 足の親指をケガしたって言うとったで。まぁそれくらいで済んでよかったわ。浜中も心配やし、幸くんなんて復帰したばかりなのにねぇ。なんや幸くんの気持ちを思うと、よう連絡できんかったわ。

──トレーナーさんを紹介したりして、幸さんとは仲良くされていますものね。

小牧 復帰前もね、「やっと乗れますわ」って連絡をもらって。だから、今回は僕から何かメッセージを送ろうと思ったんやけど、何て言えばいいのかわからんかった。もし、痛みと戦っているような状態なら、そっとしておいてあげたいしね。それにしても、競馬の神様は意地悪やわ。幸くん、何も悪いことしてないのに。ただ一生懸命、頑張っているだけやのにな。

──騎乗馬の骨折ですから、避けようのない事故だった。

小牧 そうやね。馬の骨折ばかりはどうしようもない。なんかおかしいなと思ったら、すぐに止めるようにしているけど、何の前触れもなく、突然というケースもたくさんあるから。やっぱり芝は危ないわ。スピードが出ているし、芝の下は土やから硬いでしょう。ダートはまだ、多少クッションが利くからね。それにしても、僕らは危ない世界で仕事してんねんな。こういう事故があるたび、身が引き締まる思いやわ。

──では、最後にファンからの質問をひとつ。「武豊騎手のジョッキーカメラはブレがないと話題です。それを可能にしているのは、武豊騎手のどんな技術なのですか?」

小牧 “武豊”のすごさは、完全に体幹やで。体幹がすごいのは、見ていればわかる。この年代になっても乗れるというのは、体幹のなせる業。年齢を重ねると、どうしても下半身の筋力が衰えるでしょ? だから、鐙が長くなったり、引っ掛かったり、カクンカクンしたりするようになる。でも、豊くんは下半身が衰えていないから、ブレないんやと思うよ。僕も豊くんの乗り方を真似しようと思ってね、今も一生懸命取り組んでいるところなんやけど。

──小牧さんは今、どんなトレーニングをされているんですか?

小牧 僕ね、競馬の前に必ず取り組んでいることがあんねん。レース前に絶対にやっていること。調整ルームから出る前に、ひとりでトレーニングルームに行ってね。そこで自分の体幹というか軸を確認して、今日も大丈夫やなと納得してからレースに臨んでるわ。

──具体的に何をされているんですか?

小牧 それは内緒(笑)。

太論

▲27日にはエコロクラージュと笠松グランプリに挑む(撮影:稲葉訓也)



──内緒なんかーい(笑)。さて、今週の木曜日は、エコロクラージュで挑む笠松グランプリ。負けられないところですね。

小牧 力的には、勝って当たり前の存在やからね。同じ日に園田で金盃とジュニアグランプリという重賞が2つもあるんやけど、エコロクラージュで勝つために笠松を選んだわけやから。ここはなんとか勝たんことには。あと、火曜日の園田7R(B2)には、ベラジオドリームが入ってます。

──こちらも“勝って当たり前”の馬。

小牧 うん。スタートだけや。調子はいいし、メンバー的にも負けられないところやね。

(編集部注:ベラジオドリームは取材後の11月25日園田7レースで圧倒的人気に応え優勝いたしました)
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1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。2024年には再度園田競馬へ復帰し、活躍中。史上初の挑戦を続ける。

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