スマートフォン版へ

netkeiba

「僕が世界記録かもしれん、ホンマやで(笑)」──58歳にして年間200勝達成の小牧太騎手が思いを語る

  • 2025年12月02日(火) 18時01分
太論

▲「世界記録?」な200勝達成への思いを語る(撮影:稲葉訓也)


エコロクラージュで挑んだ笠松グランプリはクビ差の2着。小牧騎手いわく「3コーナーでは勝ったと思った」というレースでしたが、直線で伸びあぐねたあたり、思った以上に馬体増が響いたよう。次走はクリスマスに行われる兵庫ゴールドトロフィー。JRA勢を相手にどんな戦いを見せてくれるのか、反撃に期待したいところです。

さて、本日の園田7Rで、年間200勝に到達した小牧騎手。58歳でのこの大偉業は、もしかして世界初!?

(取材・構成=不破由妃子)

ゲートのなかで固まって動かない!? 「癖のある馬がたくさんいるよ」


──ジャパンCは、小牧さんの本命マスカレードボールが2着。しかし、すごい時計が出ましたね。まさかヨーロッパの馬がアーモンドアイを超えてくるとは。

小牧 勝った馬ね、あれは強いわ。マスカレードボールも思った以上にしぶとかったし、今回は上位2頭が抜けてたね。マスカレードボールは、直線で外から勝ち馬に被された時点で、もうアカンかと思った。普通の馬やったら、あそこで終わってるかもしれんよ。あそこから食い下がったということは、やっぱり力があるわ。川田の落馬とかゴール後の落馬とか、いろいろアクシデントがあったみたいで心配やけど、レース自体はすごく見応えがあったね。

──さて、木曜日の笠松グランプリ(笠松11R・重賞・ダ1400m)。エコロクラージュ、実に惜しかった…(勝ったストリームのクビ差2着で、ミスズグランドオーと2着同着)。最後は3頭横並びの大激戦でしたね。

小牧 普通にかわせると思ったんやけどなぁ。最後の最後に伸びあぐねたね。

──道中で狭くなるシーンもあったような。

小牧 いや、全然そんなことはなかったよ。僕が1番人気の浦和のアウストロを内ラチ沿いギリギリのところを走らせたから、そう見えたのかも。で、僕が先に行ったら向こうの馬が下がったから、ああ大丈夫やなと。3コーナーでは、勝ったと思ったんやけどね。

──相手が思った以上にしぶとかった。

小牧 そうやね。前残りの競馬になったし。まぁ前回までの雰囲気やったら、差してたと思うけどね。体が10キロ増えていたから、やっぱりちょっと重かったんちゃうかな。それを考えれば、よう2着にきたわ。

──そうですね。状態に差はあれど、自分の力はきっちり出し切るタイプ。

小牧 前回の南部杯で10キロ減っていたけど、それでも余裕のある体つきだったしね。次の兵庫ゴールドTまでに、もうちょっと絞れてくれたらいいんやけど。この前の走りでは、JRAの馬に太刀打ちできんわ。3週間以上あるし、ビッシリ仕上げてもらうしかないね。

──次こそは、ですね。火曜日のベラジオドリーム(園田7R・B2・ダ1400m)は楽勝でしたね。

小牧 うん。僕の馬が出るとなったら、ある程度力のある馬はみんな回避しちゃったから。あのメンバーでは負けられんよ。

──直線で少し気合いを付けたくらいで、ほぼ馬なりのまま5馬身差ですからね。単勝元返しも納得の強さでした。

小牧 年内にもう一度、自己条件を使うんじゃないかな。条件クラスでは負けられへんね。交流重賞で選ばれるためにも、順調に勝ち上がっていかんことには。

──ほかで印象に残ったのは、火曜日の8Rを勝ったジーティートゥルー(園田8R・C2一・ダ1400m)。中央からの移籍初戦でしたが、終始ムチを入れながらの追走で。余裕がないのかと思いきや、最後は楽勝だったのでビックリしました。

小牧 ああ、あの馬はね、内にモタれてどうしようもなかった。内の馬を挟んでしまいそうだったから、早く馬をかわしたくてね。返し馬からして、むちゃくちゃ乗りづらかったわ。要注意やね、あの馬は。

──スタート後もそうですし、3〜4コーナーでもめちゃくちゃムチを入れていたから、小牧さんにしては珍しいなと思いながら見ていたんですが、そういうことでしたか。

小牧 そうそう。久しぶりに汗をかきましたわ(苦笑)。もう少し上手に走れるように、ハミを替えてもらわなアカンね。水曜日に勝ったアンコロ(園田10R・駆けろパカっと錦秋賞/B2・ダ820m)も変わった馬でねぇ。ゲートのなかで固まってたわ。

──固まってる?

小牧 そう、固まって動かへん。こっちが何をしようが、斜めの態勢のまま固まって動かへんから、どうしようかと思ったわ。初めて乗る馬やったから、そのまま放っておいたんやけど。たぶん出るのがわかってるからやね。

──ゲートが開くまで無駄な動きは一切しませんよ、というアピールなのかも。いろんな馬がいますね。

小牧 変わっているというかね、癖のある馬がたくさんいるよ。

──そんな馬たちを上手に誘導しながら、先週もしっかり4勝。200勝まであと2勝というところまできました。

小牧 今朝ね、58歳で200勝したジョッキーっているのかなぁと考えてたところやねん。川原(正一)さんが200勝してるんちゃうかと思って調べてみたら、最後に200勝をしたのは57歳のときやったわ。的場(文男)さんはどうなんかな? あり得るとしたら、的場さんしかおらんでしょ。

──今ちょっと調べてみたら、的場さんが最後に200勝したのは2009年。的場さんは1956年生まれですから、53歳の年ですね。ということは、58歳で200勝は史上初かもしれない。

太論

▲“帝王”の記録をも超えることに(撮影:高橋正和)


小牧 海外のジョッキーはどうやろ? いるんかな?

──海外までは、今すぐには調べ切れませんが…。58歳までバリバリの現役という方は少ないような。

小牧 じゃあ、僕が世界記録を作るかもしれんね。これ、ホンマやで(笑)。みんな簡単やと思ってるかもしれんけど、少なくとも日本では史上初やろ? すごいことやで。

(編集部注:小牧太騎手は取材後の12月2日、園田7Rで年間200勝を達成しました)

(文中敬称略)
質問募集
太論 / 小牧太
このコラムでは、ユーザーからの質問を募集しております。あなたから
コラムニストへの「ぜひ聞きたい!」という質問をお待ちしております。
質問フォームへ

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。2024年には再度園田競馬へ復帰し、活躍中。史上初の挑戦を続ける。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング