どれだけディープインパクトの報道があったことか。ロンシャンが、これほど近くなったことはありませんでした。
外国を知るには、日本からの遠征馬がいることが一番で、それが強豪であればあるほど効果があります。
凱旋門賞の結果をどう分析するか、その先には、フランスの競馬、ヨーロッパの競馬をどうつかんでいくかの究極のテーマに辿り着かねばなりません。
馬場の違い、レース運びの違いは知られていることですが、要は、それにどう対応できるかではあっても、今回のディープインパクト3着の結果には、ヨーロッパの伝統の壁を感じさせられました。
オリビエ・ペリエ騎手は、これがフランスの競馬なんだと語っていました。
武豊騎手にすれば、ライバル視されたハリケーンラン、シロッコを完封できたところに、現地でも評価の低かった3歳馬に来られたので、複雑な思いだったでしょう。斤量の有利な3歳馬、前哨戦の中でも本番にもっとも近いというニエル賞の勝ち馬。この10年で8頭も勝っている3歳馬の優勝という、凱旋門賞がどんなレースなのか、これを勝つには、並大抵のことではないという、大きな課題をまたしても突きつけられたのでした。
世界の代名詞として長い間ホースマンの憧れだった凱旋門賞が、日本競馬史上最強と言われるディープインパクトの挑戦によってより身近なものになりました。
たった一頭の強豪の挑戦では負担が重く、できれば3歳の上り馬を含めた複数の遠征をしてこそ、対等な勝負になるということでしょう。それに、伝統の壁を打破するには、数多くの交流がなされねばならず、日本にも数多くの外国馬が参戦する雰囲気づくりが必要でしょう。そして、人も。競馬先進国としてのヨーロッパの誇りこそ、今は大きな壁になっているように思えてなりません。