競馬には、時折、似たようなケースを見ることがあります。一定のルールの中で行われているので、それもまた競馬と言えるのでしょう。皐月賞馬の秋の天皇賞制覇は、昭和59年にこのレースが2000mになって以降4頭目。ミスターシービー、ヤエノムテキ、テイエムオペラオー、そして今年のダイワメジャーです。
さらに言えば、皐月賞優勝後約2年6か月の期間を経ての天皇賞制覇は、ヤエノムテキに次いで2頭目になります。
このケースを多いと見るか、稀なことととらえるかは別として、少なくとも競馬にはその結果から過去が見えることがあります。その見えない糸を手繰り、結果を導きたいと事前検討に余念がないのが競馬予想のひとつの側面でもあります。
それにしても、ダイワメジャーのイメージは一変しました。東京の長い直線では力及ばずというそれまでの思いは、毎日王冠で勝っても完全に消せずにいました。それが、スイープトウショウ、アドマイヤムーン、コスモバルクに人気の面で譲っていたとも言えるでしょう。しかし、皐月賞馬であるという裏づけは微動だにすることはなかったということでした。
さらに、安藤勝己騎手とのコンビで戦った今年の4戦目、そこで出した戦い方の結論がこの大舞台で発揮されたということもあったでしょう。いちばんダイワメジャーに合うレースの運び方とは、考え抜いた末のベテランの答えが、寸分の狂いもなくこの天皇賞には出されていました。
展開面で不向きと思えたスローペースでの瞬発力勝負を避けるために取った前々での競馬。後続に脚を使わせるという戦法こそ考えた戦い方で、全くその通りに運んだ勝利でした。大レースほど、楽をして勝つことは困難なもので、多少の犠牲を自らに強いて、相手にもより大きなダメージを与える、それを天皇賞2000mに見ました。