12万人の気持ちがひとつに集約されたようなジャパンCのゴール。物言わぬサラブレッド、物言えぬ陣営にとり、その勝利することのみ自らの意志表示と、この瞬間に凄まじいまでの執念を燃やしました。
ディープインパクトと武豊騎手のウイニングランを迎えるスタンドは、これまでにないほどの興奮につつまれていました。その表彰式の場にいて、マイクに向かってしゃべる一語一語に、これほどの反応を覚えたことはありません。全ての思いがかなえられた、そんなシーンは競馬では不可能であっても、それに近い満足があったのではないでしょうか。
これでラストランとなる有馬記念への期待は大きくなりました。
種牡馬として51億円ものシンジケートがすでに成立していて、その面では、危険を冒してまでレースに出ることもないのですが、日本の競馬ではとても許されるものではありません。ファンあっての競馬という側面は、他のどの国よりも強いからです。だからこそ、迷うことなく有馬記念です。語り継がれる、印象に残るラストランであることを祈りたいものです。
さて、12月は2歳馬のチャンピオンレースが続きます。スターホースが引退した来年以降の競馬がどうなるかは、この世代の活躍にかかります。ディープインパクトを上回る馬が出現するかどうかは分かりませんが、白熱したレースになるためには、何頭かの強豪が存在するというのも望ましく、ライバルがクラシックで対決するというシーンも、久々に見てみたいものです。1頭だけ抜けた存在があったあとは、2強、3強対決の競馬か、群雄割拠というのもいいですね。どうなるかは、12月、1月の若駒戦を見ればはっきりします。
競馬場が盛り上がる競馬、いつもそれを願っています。どんな競馬シーンが訪れるか、しばらくはそれを考えていきます。