人気がうなぎ上りにエスカレートしていった結果、後に襲ってくる閉塞感、競馬によくあることだ。武豊があれだけ期待する思いを述べれば、今はみんなが同調する。まして、ディープインパクトであれだけ盛り上がったのだから。
さて、きさらぎ賞のオーシャンエイプスの4着を、単に期待倒れと片付けていいのか、それが問題だ。
逃げ切ったアサクサキングスは、ゆっくり先頭に立ったことで戦いやすくなった。どの馬も追いかけず、スローペースなのに来る馬はいず、3角をまわってペースを速め、4角に入るところで一番速いラップを刻むというホワイトマズル産駒にとってうってつけのレース運び、最良のかたちで逃げられた。二枚腰というタイプではないが、今後、これがあることだけは忘れてはならない。
オーシャンエイプスは、これと0.6秒差なら通常は逆転可能と考えられる。まして、2着ナムラマースとは0.3秒差、失望するようなものではないだろう。なのに、ふくらんでいた期待感は、急速に縮んでいる。もう一度見ないことには、得心できない。
8馬身差をつけた新馬戦1800mとほぼ同じ内容でありながら、やはり重賞は違う。2戦目でいきなりのここ、戸惑いがあっても不思議はない。鍛えられてもっと強くならないことにはという予測は立つ。
きさらぎ賞組では、ナムラマースの中距離での確実性が一番安定しているが、9戦目というキャリアでは、大一番での主役とは言いにくい。また、3着馬サムライタイガースも粘り強いが、この展開の2番手という位置取りだったことが有利にはたらいた。それに若さも残っている。
かくして、今年のきさらぎ賞組は、共同通信杯のフサイチホウオーに迫る迫力ではなかった。やはり、オーシャンエイプスの変わり身を見守ることになる。