馬は血で走る、これよりもっと興味深い場面になりそうだ。
弥生賞が終わって皐月賞、ダービー戦線が見えてくる中で、誰しもが気づくのが、サンデーサイレンス亡き後の種牡馬争い。あまりにもSS時代が強烈だったため、その名ごりを惜しむ一方、後継種牡馬の活躍に目を奪われていく。アグネスタキオン、ジャングルポケット、マンハッタンカフェ、スペシャルウィーク、これにステイゴールドも加わって多士済々。こんなにサイアーが面白いことになろうとは考えにくかった。それぞれがどんな特徴を産駒に伝えていくのか、現役時代を知っているだけに今後が楽しみだ。
そして、こういう巡り会いもあるのかというのが、この春の皐月賞、ダービー戦線である。まるで平成13年にタイムスリップしたような思い。確かに馬は血で走るの実感だ。
平成13年、この年のクラシックが鮮やかに甦る。常連サンデーサイレンスは、数多くの有力馬を送る中、皐月賞で抜け出したのがアグネスタキオンだった。無敗の皐月賞馬の誕生、しかしそれも束の間、脚元の故障であっという間に引退。ダービーで代わって主役を飾ったのがジャングルポケットだった。
父トニービンは、サンデーサイレンスに肉薄した名種牡馬。巡って来たチャンスをその子ジャングルポケットがつかんだのだ。しかし、またサンデーサイレンスの逆襲だった。
菊花賞では、春は頭角すらあらわしていなかったマンハッタンカフェのステイヤーとしての資質が開花した。あの爆発力、人気を落とした桧舞台で強かった。
この平成13年の三冠レースで名を上げた名馬たちの産駒が、揃って父と同じ舞台でしのぎを削るという偶然。果たして、三冠の行方がどうなるか。世代を同じくした産駒たちが父の名を大きくするためにこの春、6年ぶりの因縁対決を演じる。そう考えるのも興味深く、この春を盛り上げてくれている。