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今年の高松宮記念は忘れないでおきたい

  • 2007年03月28日(水) 21時49分
 馬は血で走る、言い古された言葉が鮮やかに甦った高松宮記念だった。今更言ったところで仕方のないことだが、あまりにもぴったりだったので、記憶に留めるためにも記しておきたい。

 ふたつあるスプリント戦のうち、この高松宮記念ともうひとつのスプリンターズSでは、その中味が微妙に異なっている。中京左回りの高松宮記念は、上がりが特に速く、キレ味が求められる。最後までスピードが鈍らない馬に勝利の資格があるレースで、そこで浮上するのがサンデーサイレンス。これはよく知られていることだが、実際に徹底してこのことを追求したことはなかった。02年にこの世を去ったサンデーサイレンスだが、遺児たちの活躍は、いつもキラリ光っている。

 この高松宮記念は、小回り中京のコースの特徴である3コーナーからのスパートがまずポイントのひとつで、そこからゴールまで一気にスピードを加速させてへこたれない馬でないと苦しい。アドマイヤマックス、オレハマッテルゼ、ちょっと前のビリーヴとその産駒で勝ったものに共通する点はそこだった。

 そして今年、勝者スズカフェニックスもサンデーサイレンス産駒で、いつもより前の位置取りから早めのスパートながら、最後まで一気に駆け抜けていた。しかも、2着ペールギュントもサンデーサイレンス、そして3着プリサイスマシーンの母父がサンデーサイレンスと、まるでこの傾向の集大成のようなレース結果だった。

 今年のメンバー18頭のうち、父サンデーサイレンス、または母父サンデーサイレンスは4頭しかおらず、その全てが掲示板にのるという快挙。もう2度とこういうことはないだろうが、この結果を受けて来年以降、どんな高松宮記念になっていくのか、今年のことは忘れないでおきたい。そしてサンデーサイレンスといえば武豊騎手。気の荒い馬を乗りこなし爆発力を引き出す名人の技も、是非付け加えねばならないレースだ。

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ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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