レベルが上がったことで多くの馬が同じようなスピードで走れるようになった。皐月賞の結果から、それがはっきりしていた。
レースの勝ちタイムが1分59秒9、これぐらいだとかなりの馬が走れる。1秒以内に11頭もがひしめいていて、上位3頭のヴィクトリー、サンツェッペリン、フサイチホウオーは同タイム、従って着差は、ハナ、ハナ。どれが勝ってもおかしくなかった。
特に、レースが壊れることのない平均して緩みないペース。速くもなく遅くもない流れの場合には多くの馬は持てる力を出し切れるが、それが予想外の結末を生む。
一番人気だったアドマイヤオーラは、同じ中山2000mの弥生賞を2分00秒5で勝っていたが、皐月賞はそれを0.4秒短縮したのだから、4着ではあっても力のあるところは見せたと言える。弥生賞の前後半の1000mが59.8秒と60.7秒、皐月賞は59.4秒と60.5秒とほぼ似たような流れで、アドマイヤオーラは位置取りの関係から、上がり3F34.8秒の脚を使った弥生賞は勝てたのに、33.9秒で差してきた皐月賞は勝てなかった。
皐月賞のラップは、やや引き離して先行したヴィクトリーとサンツェッペリンがつくったもので、後方にいたフサイチホウオー、アドマイヤオーラ、ドリームジャーニーにとってはスローに感じてもいいくらいであった筈だから、それぞれが鋭い伸び足を見せたのは当然と考えていい。
こういうペースになると、前哨戦との違いはただ頭数にあるように思う。本番では18頭だから、その状況の違いが微妙にレースに影響を与えるということ、これまでもあった。中山コースのトリッキーな部分は、こういうところにも出てくる。
この延長上にあるダービーだから、今年は不完全燃焼だった有力馬たちの巻き返しというテーマが見えていて、さらにヒートアップして面白くなってきた。