グランドオープンした東京競馬場。フジビュースタンドの全長380mの大きさには圧倒されるが、いざ中に踏み込むと、これまでとは勝手が違い、右往左往する顔馴染みに遭遇する。常連は、いつもいるポジションが決まっているもので、新たな通路を歩くうちにどう行ったらいいものか迷ってしまう。
面白いのは、扉のところに立っている係の人たちも、私どももまだ把握し切っていないのですと語っていたことだ。混乱ということもないが、慣れるには少し時間が要るかもしれない。とにかく、アミューズメントパークと呼ぶにふさわしい、新しいタイプとしての競馬場を存分に味わっていただきたい。
そして、京都の天皇賞から続く東京でのビッグレース。5月に入ると毎週GI戦があり、6月の安田記念まで緊張と興奮で競馬は盛り上がる。どれかひとつぐらい、3連単の大ヒットをとばしたいものと、いつもながらの皮算用が止まらない。好きな馬を買えばと割り切ったつもりでも、どんどん好きな馬が増えていくのが人の情。その情に流されていくと、買う点数が一気にふくらんでしまうのが3連単。やすやすと皐月賞を的中させた人の話に耳を傾けては、御利益あれと祈るばかりだ。これら全て、始まる前の楽しみで、一番いいのは今かもしれないと思えてくる。一度でもいいから、痛快と心から思える瞬間を迎えたいものだ。
馬が駄目なら騎手で行こうか、いや、プロらしく前哨戦をしっかりと分析してからと、早くも迷いがチラホラと。これだといつもの顛末、もっと別の角度から攻めないと、そうこうするのが結局の迷い。いくらやってもいつもと同じ堂々巡り、これがいつもの春競馬と、いつもいつもが脳裏をかすめるばかりだ。
各レースに1頭ずつ穴馬を探し出すことをテーマに、それからのことは、その時になって考えればいいと、結論はいつも先送り。いい話は向こうからやってくるのも事実だ。