“皆さんを驚かせてしまいました”とピンクカメオの金子真人オーナーはニッコリ。表彰式に向かう地下道を歩きながら、こう語っていた。ディープインパクトが引退してしばらくはと周囲は見ていただろうが、今年は、また別のインパクトを与えてくれた。本当になにかを持っている方だ。
NHKマイルC史上はもとより、GIの歴史に残る怪記録を生んだ東京のマイル戦が、一体、何であったかは、しっかり検証しておく必要があるだろう。
期待と不安がどの馬にもあった。確実にここをと言えた馬がいなかったという点は、これまでもあったように思う。しかしそれよりも、皐月賞6着馬を一番人気にしなければならなかったところに、マイルで新鮮味を覚える存在がなかったことを証明していた。
大荒れの予感は、当日の空模様から察せられたが、時間がたつにつれ内枠不利が強くなり、だからどうなのだと、その答えを求める思いはあった。しかし、競馬場にいて、そこまでゆったり構えるゆとりは誰にもない。
ピンクカメオを思いついた幸運者が、どんなきっかけでそれをつかんだのか、何かあった筈だから、それを知りたいものだ。
とにかく、黄色に黒の勝負服は、今年もGIの舞台で存在を示した。ブラックホークの半妹で、クロフネ、キングカメハメハと、東京のマイルGI戦に縁の深いこの勝負服に最初から気がついていたら、少しは、勝者に近づけただろうにと、悔やむのはいつものこと。かくして、内田博幸騎手の名とともに、この衝撃はしばらく尾を引いていく。
さて、これに続くGIが、やはり東京のマイル戦、カワカミプリンセスの出番だ。ヴィクトリアマイルの傾向は、まだ2年目では無いに等しい。だが、ここをはっきり目標にしている牝馬たちの多い一戦だから、そんなに滅茶苦茶は少ないだろうと、誰しもが思っている。今週は、素直にいくことになるのか。