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当事者たちの残した名言

  • 2007年05月23日(水) 17時50分
 競馬の祭典ダービー、全てのホースマンがその勝者の立場にあることを望んでいる。かつて、ハイセイコーブームの中、タケホープで栄冠に輝いた騎手の嶋田功は、リーディングジョッキーになるよりダービージョッキーになりたかったと語っていた。また、10度目の挑戦で勝利をつかんだスペシャルウィークの天才武豊は、ダービーには特別な意識があったし子供の頃からの夢であり憧れだったのでうれしいと胸の内を明かしていた。

 ダービーには、その当事者たちの残した名言が伝えられている。馬主の立場であり、騎手であり生産者でありと、関わり方は様々でも、どの言葉にも人の心を揺り動かすものがある。

 勝利を確信していても、先頭に立った瞬間我を忘れてしまい、ただはやる気持ちばかりでゴールが遠のいていくといった錯覚、これまで幾度となく聞いてきた。

 そうした中で、第45代ダービー馬サクラショウリの小島太騎手が残した言葉には、多くのダービージョッキーの感じた思いが凝縮されていた。

 もうゴールだと思ったらまだ先、我慢に我慢を重ねて仕掛けたのに、ゴール板が向こうに飛んでいく感じだった――切実な思いが伝わってくる。

 逃げて直線に入ればどんなレースでもゴールまでは長いんですと語った小島貞博騎手は、あのミホノブルボンのダービーのときには、ゴールまでがこんなに長いと感じたことはなかった。どこまで走ればゴールに行きつくんだ、いつか何かが来ると怖くて仕様がなかったと述べていた。

 感動、感激のその瞬間、誰もが正直にそのときの思いを吐露してくれる。飾り気のない言葉だからこそ、真実極まり、それ以上の表現はないのだと思う。ダービーになると、誰もがどう語ってくれるか、そのことにいつも強い意識が働いている。

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ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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