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ブラッドスポーツの醍醐味を満喫するとき

  • 2007年06月20日(水) 19時50分
 今年も新馬戦がスタートした。確実に、競馬は新しいサイクルに入っていく。今は、どの馬にも生涯にたった一度しか新馬勝ちのチャンスは与えられない。どの陣営も、納得のいく状況でないと出走に踏み切ることはないが、だからと言って、どの馬も初戦向きとは限らない。

 その馬の父が、母が、兄弟姉妹が、母の父がと、血統に探りを入れて判断を下すのが一番と、今はどの顔も血統評論家気取り。夢いっぱいで幸せなときでもある。

 個人的には、例えば種牡馬にどんなイメージを抱いているかを大事にしてきた。理屈ではなくフィーリング、これなら誰にだってその馬に近づくことができる。要は、どう感じているのかの答えをはっきり持っていることだと思う。中にはイメージのわかないこともあるだろう。そうならば、その馬をじっと観察するしかない。焦らずに繰り返し見続けることで、なにがしかのイメージが浮かんでくるものだと思う。

 別に専門家でもないのだから、他人に説明する必要もなく、自分だけの楽しみであればいいのだ。どんなイメージを抱くかは、あくまでも自分だけのもの。その頑固さが楽しい。競馬は孤独の中に埋没している方が、集中できる。何かが見えてきたときの喜び、ひとつでも多く、その喜びの回数を増やしていくことで、自分の競馬観がふくらんでいく。

 デビューした新馬たちの、第2戦、第3戦と3回見続けるだけで、少なくともその馬のイメージはでき、そこから、その父馬についても見えてくるものが出てくる。

 その点、内国産種牡馬が増えてきた今の競馬は有り難い。現役時の記憶があるので、その産駒たちを見るときの参考になるし、ヒントにもなる。だから、昨年よりも今年と、新馬戦を見つめる目は熱っぽい。個々の馬たちの評価が定まるまでは、正にブラッドスポーツの醍醐味を満喫するときだ。

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ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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