先週で2歳馬デビュー最初の開催が終了。評判馬が集まったのは、7月8日阪神、芝1800m戦。1.8倍の人気を集めたのが、父アグネスタキオン、母エアトゥーレの良血馬、
キャプテントゥーレ(牡、栗東・森秀行)。これを追ったのが3.3倍、フサイチホウオーの全妹
トールポピー(牝、父ジャングルポケット、母アドマイヤサンデー、栗東・角居勝彦)だった。
だが、鞍上武豊込みで支持されていたキャプテントゥーレの方は、外目追走から、早くも3角で手応えが怪しくなる始末。好位を守れず下がっていき、勝ったアーネストリーからは2秒近くも離される8着という結果に終わった。
これで先々週の
ダノンマスターズに続いて、もてはやされた超良血馬が期待を裏切った事になる。サンデー産駒がいない分、なおさらマスコミの良血煽り、スター探しに拍車が掛かっている感もあるし、その分、ファンにも冷静な見極めができなくなっているという弊害? が出ているのではないだろうか。
キャプテントゥーレについて言えば、前捌きが堅いし、またあの失速ぶりからして、短距離馬の色が濃い。実戦慣れと距離短縮で変わり身を見せる可能性はあるので、その際に再考すべきだろう。
トールポピーは、面目を保った2着。ゲートが甘いのは兄譲り、この血統の悪いところだろう。それでいて、勝負所で気合を入れられてからは前向きな走りを見せた。瞬発力が足らないことは意外ではあったが、フサイチホウオー(父ジャングルポケット)というよりは、半姉のアドマイヤメガミ(父エルコンドルパサー)の方に近いという印象だ。年内2勝は堅そうなイメージ。
勝った
アーネストリー(牡、母レットルダムール、栗東・佐々木晶三)は、グラスワンダー産駒の牡馬。コロコロして見えるのは同産駒の特徴。新馬戦ながら怯まずにインを突いて伸びたのは、勝負根性の良さを物語る。時計的にはあまり見るべきもののない勝利だったが、メンタル面は強そうだ。早熟色が出てきた種牡馬だけに、2歳戦線の注目株になりそう。
阪神からはもうひと鞍、7日の芝1400mの新馬戦。以前書いたように、阪神の1400mはダート的資質が重要なコースであり、それを裏付ける血統の馬がタフな勝ち方を見せた。Woodman産駒のHawk Wingが送り込んできたアイルランド産の
バーキングウルフ(牡、母Forest Call、栗東・安田隆行)が快勝。母の父がWolfhoundで、距離が延びたら魅力は半減しそうだが、こういうタイプはスペシャリストとして息の長い走りができそう。
これまで
エイブルベガくらいしか目に留まらなかった函館は、最終週になってようやく粒が揃ってきた。仕上がりの良さで、POG上級者の間で話題になっていた?
ミゼリコルデ(牝、父Fasliyev、母Match Point、栗東・音無秀孝)が、日曜の芝1800mの新馬戦で、牝馬ながら荒っぽさの中にスケールを感じさせる勝ち方をみせた。
スタートはまあまあだったが、二の脚がつかずに後方からとなり、しかも折り合いを欠くというか、高ぶるようなシーンを見せる。「これでは勝負になるまい」と思えたが、外へ出してからは次元の違う伸びだった。ノーザンダンサーの3×3という配合からか、気性の難しさを感じるし、距離にも限界はありそうだが、ツボにハマまれば瞬発力増強配合の良さが出る。ムラなタイプに見えるだけに、過度の信頼は寄せられないけれど、2歳戦のうちは大崩れすることはなさそうな気がしている。
あとは土曜の1200mで
イイデケンシン(牡、父サンダーガルチ、母ヘヴンリーアドヴァイス、栗東・昆貢)の、いかにも2歳戦向きの器用さとスピードが印象に残った。