先週の2歳戦の主役は、新種牡馬ゴールドアリュールだったことは論を待たないだろう。日曜の新馬戦を2勝、土曜に3着1回。これで早くも2歳戦で3勝したことになる。
まず、29日の小倉、4Rの
マイネルアトレ(牡、母グリーンヒルケイ、栗東・中村均)は芝1800mでの勝利。ニッポーアトラスの半弟。まあ内容的にはスローの逃げ切り勝ちで、上がりも特に速くなく、平凡なレースだったので、単にゴールドアリュール産駒が勝ったということに留めておく。
俄然注目は同日の新潟6Rの芝、外回り1600m戦の方。
タケミカヅチ(牡、母カズミハルコマ、美浦・大江原哲)が、二重苦三重苦を克服しての豪脚を見せた。スタートで出遅れ、それも万事休すといえるくらいのひどいもので、さらに1000m通過63.1秒のスローとあっては絶望的。4角までは後方3番手あたりをウロウロしていたのだが…そこからの脚が凄かった。楽に逃げ切り態勢に入ったジョウショーアローを、計ったように交わして推定33.0秒の切れ味発揮。レースの上がりを1.4秒も上回った。新馬戦でこの上がりはただ者ではない。半姉に夏の小倉で活躍したスプリングチケット(父トニービン)がおり、確かにこの姉も直線一気の切れを武器にしていた馬だったが、印象度はこれ一発で上回った。
これで先週のゴールドストレインに続き、ゴールドアリュール産駒からここでフィーチュアしたのはもう2頭目。しかも共に新潟2歳Sに出てくれば勝ち負けできそうなスケールだ。ゴールドアリュールといえばダートのイメージがどうしても強くなるが、ダービーであわやのシーンもあった馬だし、また良い種牡馬の条件である「体の柔らかさ」には卓越したものがあった。それを思えば、新種牡馬戦線におけるダークホース出現となっても、決して不思議ではない。
新潟からは、ひと鞍、未勝利戦を取り上げておきたい。
28日、1Rの
ショウナンアルバ(牡、母シャンラン、美浦・二ノ宮敬宇)は、福島の新馬戦(芝1800m)では掛かるところを見せて、道中先頭に立ってしまい、タケショウオージにゴール寸前で差し込まれていたが、内容は勝ちに等しかった。短期放牧を挟んだからか、今度は折り合って反応良く抜け出した。返し馬では荒いところを見せていたし、ウォーエンブレム産駒なので気性難は付きまとうかもしれないが、この反応の良さとレースセンスの進境度には注目。
先ほどのタケミカヅチといい、どうもダートイメージのある種牡馬が芝外回りで炸裂しているような気がするが、今後もその傾向は続くのだろうか…。というか、今夏の外回りは、例年の軽いカミソリ型の瞬発力では乗り切れない馬場コンディションになっているのかもしれない。
小倉では、29日の2R芝1800mの未勝利戦で、話題の
キャプテントゥーレ(牡、母エアトゥーレ、栗東・森秀行)が2戦目で初勝利。前走の内容をここで低評価した手前、勝たれたのは不明を恥じるべきだが、言い訳ではなく今回の内容は、スローでただ回ってきただけで評価すべき点は見当たらなかった。武豊騎手が単騎逃げして巧いペース配分をしたのが全て。しかもあのペースならもっと圧勝していないと…。次走は昇級戦でも人気になるのかもしれないが、当面は危険視していいと思っている。別にこの馬に恨みがあるわけではないが(笑)、世評に逆らっていかにオイシイ目に遭うかが競馬(というか馬券)の本質ですから。
函館からは、先週も目ぼしい馬が見当たらなかった。結局低調なまま函館2歳Sを迎えることになる。登録を見ても、他の競馬場からの組は、福島デビューのルミナリエと地方馬ハートオブクィーン1頭だけで、しかもこの2頭は前走、低調だったラベンダー賞で函館組と走っている。函館デビュー組だけによるレースとなるので、となると能力からはエイブルベガで仕方ないのかもしれないが、本稿での評価からはイイデケンシン、ベストオブミーも互角とみたい。この3頭から勝ち馬が出るとみている。