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地方騎手のファイティングスピリットに喝采

  • 2007年08月18日(土) 11時29分
 時折、中央の舞台にやってきて、印象深い騎乗で見るものを魅了する地方騎手。多くがそのファイティングスピリットに喝采を送っている。

 誰しもが、納得するプレイを騎手に望んでいるが、それは、勝敗を超越し、利害をも超越するものだ。たとえ勝てなくても、満足させてくれるプレイであったらいい、そう思っている競馬ファンは多い筈だ。

 それともう一点、これはもっと高度な競馬観のようなものだが、レース中の騎乗者の判断をどれだけ分かっているかということがある。その馬の次を考えてレースを運んでいる場合もあり、馬の成長を促すのも騎手の役割だから、必ずしも、目に見えるプレイとばかりは言えない。どう納得するかは、見る側の力量次第なのだ。こうなると、普段からの信頼の度合いも大きくものを言う。そう乗っているのだから、何か考えているのだろうと受け入れる。これも競馬だ。

 しかし、やはり分かりやすいのがいい。先日の新潟に、川崎の今野忠成騎手が騎乗していた。7月のジャパンダートダービーで船橋のフリオーソに初めて乗り、圧勝した川崎のエースで、人馬ともに、今後の動向が注目されている。

 今野騎手は初日の新潟で7鞍に騎乗し、3勝して2着1回と大奮戦、特に終盤は圧巻だった。メインのガイアレーサーは11番人気、気を抜くとクセのあるこの馬を、残り半マイルからステッキをいれて追い出し、先団に取り付いてからもずっと追いどおしで、逃げたモンヴェールをゴール前で遂に捕らえていた。大敗続きのこの馬がこんなに動けるとはとみんなが思い、最終レースのストールンブライドは、予想以上の人気を集めて勝利し、川崎に今野ありを印象付けた。小回りコースでの無駄のないコーナーワーク、勝機を逃さない積極性、心地よいプレイは、全てを忘れさせる迫力があった。

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ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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