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競馬のあるべき姿を見つめ直してみたい

  • 2007年08月22日(水) 18時50分
 馬のインフルエンザで競馬が中止され、この事態がいつ沈静化するのか、その成り行きが注目されている。

 36年前に発生したときは、馬事公苑、福島、東京、中山、新潟に伝染、地方競馬の南関東4場、大阪春木、福山へと拡大したが、この伝染が関東地方中心であったため、必死の防疫体制を敷いた結果、栗東トレセン、関西地区の競馬場はこの伝染からまぬがれていた。

 しかし、まだ馬インフルエンザが認識されていなかったので、今日のような予防ワクチンの投与もなされておらず、暮れ押し詰まって発生したインフルエンザは猛威をふるい、年が明けた1月8日には、1986頭が感染するというところまで拡大していた。沈静するまでこの年8週間も要したため、東京の2開催が中止された。

 それでも、今回のように全面中止ではなく西では競馬をやっていたので、全体を見れば今度のは初めての事態なのだ。

 ワクチン投与が義務づけられているので、感染しても大事には至らないので、馬のためにはいいのだが、ただ、症状が顕著でないこともあって、いつをもって沈静化したと判断するのか大変のような気がする。

 いずれにせよ、馬を経済動物のように見る風潮がある中、これに警鐘を鳴らした出来事と捉えては、言い過ぎだろうか。

 因みに、昭和47年の10月に美浦トレセンの建設工事が本格的に着手され、競馬ブームがピークに向かっている中でのインフルエンザ発生だった前回は、大衆娯楽として定着するには新たにどんな問題があるかを考える「競馬懇談会」が開かれていた。公正な運営と健全な発展に資するための業務を担う「競馬保安協会」が発足したのもこの頃だった。

 今回のインフルエンザ発生を機に、何を考えるかを問われているように思えてならない。ピンチは最大のチャンスと考え、ここで競馬のあるべき姿を見つめ直してみたい。

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ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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