秋競馬がスタート。札幌以外は野芝の開催ということで、芝は馬場コンディションさえ良ければ好時計連発となるはずです。ただし、2歳戦の場合は、堅めの野芝で脚元に響いてはいけないという配慮からなのか、中距離はおろか短距離戦であっても、スローで回ってくることが多いようです。ですから、時計面だけでなく、レース内容その他も総合的に考慮しないと、この時期の2歳馬の価値は判断できないでしょう。
中山でこれに該当したのはまず土曜5Rの新馬戦。
スターオブアフリカ(牝、母ウージャ、美浦・矢野照正)の勝ちタイム、1分10秒8は平凡ど真ん中。しかしレースぶりはなかなかのものでした。テンから無理をさせなくてもスンナリ先頭に立ち、後続の脚を計りながら終始持ったまま。坂を上がるところでも勢いは衰えませんでした。こういうタイプの馬は、得てして追ったからといってこれ以上に伸びるとは限らないものですが、スターオブアフリカの場合はフットワークの回転が小さめで、おそらく追えば伸びるタイプでしょう(大きめのフットワークの場合は伸びないことが多い)。Storm Cat系のJohannesburg(ヨハネスブルグ)産駒で、母の父が早熟のWoodman。完全にスプリンターです。
日曜5Rのダート1200mの新馬戦も同様でした。
タカラストーン(牡、父Grindstone、母Tropico Cielo、美浦・国枝栄厩舎)の勝ちタイムは水準級でしたが、ゲートで安目を売ったものの、持ったままで外から好位まで押し上げ、仕掛けるとスッと反応して、2着
アポロラムセス(牡、父ゴールドヘイロー、母ロングモニュメント、美浦・柴崎勇)を完封。アポロから3着馬までがさらに7馬身離れたことを見れば、レースの流れ以上にタカラの「マクってからのスピード」が強力だったことを意味します。血統的にはバリバリのダート、砂に徹すれば今後も楽しみ。なお、2着アポロラムセスは次走確勝級でしょう。一本被りになるでしょうが。
そして土曜2R、未勝利勝ちの
ネオスピリッツ(牡、父シンボリクリスエス、母ネオクラシック、美浦・藤沢和雄)。良血馬が一度叩かれてレースを覚えた印象です。同日の古馬1000万下、しかも
マイネルキーロフと1秒前後の差ならまあまあ合格点でしょう。ただ、見るべきはその逃げ方とラップ推移の対照です。平均ラップで逃げつつ、最後は追っていないのに上がり3Fが12.1-11.8-11.9秒と、1Fごとの推移が衰えていないことを評価。これはやはり重賞勝ち負けレベルになりそうです。
札幌でも同じような例をひとつ。土曜のオープン、コスモス賞。前走の内容を評価した
ヤマカツオーキッド(牝、父ダンスインザダーク、母ヤマカツスズラン。栗東・池添兼雄)が、5F66.9秒のスローで逃げて、上がりを35.3秒でまとめての逃げ切り勝ち。時計は同日5Rの新馬戦より2.6秒も遅いために低レベルに見えますが、スピードと折り合いの巧さはなかなかのもの。ただ、本来はマイルまでというのがわかりました。血統的にも、マイルの方が良さそう。
2着
リッカロイヤル(牡、父シーロ、母エトアールピオン、栗東・中尾秀正)はよく追い込んだ。あの追い込めない流れで、直線で4頭抜いたのは健闘でした。なお3着以下ではまだ厳しいか。
日曜の未勝利戦を勝った
マイネルスターリー(牡、父スターオブコジーン、母スイートウインク、栗東・加用正)は、初戦で大きな不利に泣いた馬で順当な勝利。根性があり、堅実に走ってきそうです。
あとは5Rで1200mの新馬戦を勝った
スパイオブラヴ(牡、父フレンチデピュティ、母グロンシャール、美浦・小島太)。時計は水準やや上の1分11秒7。それよりも4コーナーで前と接触しそうになって、立ち上がりかける不利から、外へ出しても諦めずに伸びた根性が光りました。
なお阪神は低調。小倉の延長という印象でした。
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