メークドラマ、これはプロ野球でこの時期、特によく使われる言葉。セ・リーグでは、阪神タイガースがかつてないメークドラマを演じるかどうか、熱狂的ファンの間で話題になっている。ここまでくると、負けることより、いくつ多く勝つかにその成否がかかる。
いくつ勝つかという点では、騎手のリーディング争いと同じだ。いくつ負けるかは関係ないのだ。勝率を競うプロ野球は、本当はそうは言えないのだが、シーズンも残り少なくなれば、ラストスパートをかけてどれだけ多く勝つかが肝心になり、騎手の立場に似てくる。
そんなメークドラマが、競馬のリーディングジョッキー争いにも見られるかどうか、ちょっと面白くなっている。
現在リーディングトップをいく岩田康誠騎手と、これを追う武豊騎手との差は、最大で29勝差もあった。7月1日終了時点で、88勝に対し59勝と、その差は大きく、武豊騎手のナンバーワンの座が揺らぐその状況に、今年はもう無理だろうと厳しい声を発するものがいた。チャンピオンに対しては、必ずアンチの思いを抱くものが出てくるもので、そうした人たちは、ここぞとばかりそう述べ立てているようでもあった。
しかし一方で、声を出さなくともチャンピオン頑張れの思いが強いのも確か。そしてこれに応えるように武騎手は、小倉で勝利を積み重ねていた。阪神の開幕週には年間100勝に到達し、勢いに乗りそうだ。
岩田騎手が好事魔多しで9月16日まで騎乗することができないので、9月9日現在で12勝差まで縮まった差がどこまで小さくなっていくか、興味津々だ。
これまでこのような逆転劇はなかったと思うので、このメークドラマ成るかも大きな話題にしていいだろう。両者が直接対決する秋競馬は、かつてない面白さがある。もうすぐ、その日がやってくる。