秋のGIシリーズ開幕戦スプリンターズSをアストンマーチャンが勝ち、スプリント戦は牝馬が強いと言うべきか、今年の3歳牝馬のレベルは高いので別格と解釈すべきか、自問したくなった。
スプリンターズSは、去年からスタートしたサマースプリントシリーズとの関連で見る位置にあるが、前哨戦としては、スプリントシリーズの第5戦セントウルSの比重が高く、この2年、無視できない結果を残している。特に、外国馬が遠征してくればここをステップにするので尚更だ。
今年のアストンマーチャンは、2歳時、短距離のステークスを2勝し、阪神JFでウオッカとクビ差の2着というスピード馬、春はフィリーズレビューを勝って桜花賞へというローテーションだった。強い世代のトップレベルにある1頭だから、秋の目標はスプリンターズSというGIタイトル、サマースプリントシリーズの1戦はワンステップであって、ここでこそ本領発揮と準備万端、中舘騎手に騎乗依頼したときから本番の逃げは約束されていた。
アストンマーチャンの父はマイルGI・2勝のアドマイヤコジーン、つまり父内国産馬、これも新しい流れの中から誕生したGI馬とも言える。種牡馬戦争の中、内国産種牡馬は時代の旬、サンデーサイレンス系が目白押しの中にあって、異系の種牡馬の立場は貴重な筈。これを実現させた意味は大きい。
そして、スプリント戦は、今や牝馬が旬なのか。3歳牝馬のスプリンターズS優勝は、1992年のニシノフラワー以来の快挙だが、それよりも、サマースプリントシリーズ5戦の優勝馬が、2年で合計10レースのうち、9レースで牝馬が勝っている事実が目立っている。俗に、夏の牝馬とは言うが、これだけ牡馬が圧倒されると、スプリント戦は牝馬と拡大して考えたくなる。3歳牝馬の優勝は、この大きな流れの一部分なのか。