今週も2歳戦は花盛りでした。まずは重賞回顧からです。
京王杯2歳S、時計的な価値は、同様に小雨稍重で行なわれた昨年とほぼ同じ。勝ちタイムも前後半3Fずつのラップも、まったく近似値でした。ただし、ダラッとした前残りだった去年とは違い、上位陣の中身は濃かったです。
まず勝った
アポロドルチェ(牡、母Summertime Val、美浦・堀井雅広)。前走のいちょうSは低評価としており、この馬については特に触れませんでしたが、ただスローの前残りの1、2着馬よりは、差しにくい展開を差して3着に来たこの馬は、割り引きにはならないとみていました。今回は出遅れから外々を回って馬なり、直線一本でねじ伏せる強い競馬。マンノウォー系の異色血統Officer産駒、アメリカの2歳G1勝ちの父系。母方はストームバード系、母系もアメリカの異端血統でゴリゴリのダート血統。東京1400mはダート向きの血統が来るので、この傾向はまさにバッチリ。仕上がりの早さと馬力で、朝日杯の有力馬にのし上がったとみます。
2着
ドリームシグナル(牡、母ダイイチアピール、栗東・西園正都)はアグネスデジタル産駒。こちらも芝ダート兼用血統でした。ここまでのパフォーマンスには強調するものはありませんでしたが、こちらはこの舞台に最適の血統で、この舞台ならばこその気もします。
大きく出遅れた4着
フォーチュンワード(牝、父デヒア、母コパノオマモリ、美浦・古賀慎明)はもったいない競馬でした。こちらも馬場は向いていただけに…。今後は合う馬場に恵まれるかどうかがポイントとなりそうです。
13着
エフティマイア(牡、父フジキセキ、母カツラドライバー、美浦・矢野進)は、阪神JFを見据える必要があったこと、それから力の要る馬場が合わない配合であったことが大きかったと思います。
では続いてその他のレースから。相変わらずスローのレースが多く、時計からの判断がつきかねるケースが続いているので、レース内容メインで見ていくことにします。
まず東京土曜5Rの新馬戦、芝1600mは、ブライアンズタイム産駒
イイデシンゲン(牡、母ミラーズミガ、栗東・昆貢)のワンサイド勝ち。持ったままの抜け出しから、後ろを振り返る余裕がありました。時計はスローで水準級のやや下ですが、これはペースの影響。もっともこういうタイプが追って伸びるかどうかは別の話。次走が試金石です。
東京日曜5Rの新馬戦(ダート1600m)は、人気の
ダンツウィニング(牡、父コマンダーインチーフ、母テーケーレディー、栗東・山内研二)が、最内で砂を被ったうえに、幼さを丸出しにして追いづらい場面を見せながら、なんとか差して勝利。ロジータの甥ということでダートデビューとなったのでしょうが、もし良馬場で力の要る馬場コンディションになっていたら、おそらく結構な負けになっていたのではないでしょうか。脚抜きの良い馬場に救われた感じです。次走が冬の中山の深いダートだったら危険、本来は芝馬だと見ています。
東京日曜6Rの新馬戦芝1800mも、
ミステリアスライト(牡、母オウリエット、美浦・小島太)が人気に応えました。柔らかそうで伸びのある素晴らしい馬体は、父のアグネスタキオンにそっくり。超スローペースでの出遅れ、後方待機の差しづらい展開を、持ったままで馬群を割るという大物感溢れる競馬。まだまだ幼さを見せているし、緩さもあるので、時間はかかるかもしれませんが、間に合えば皐月賞で面白そうなタイプです。
東京日曜9Rの牝馬限定戦、赤松賞(芝1600m)。
カレイジャスミン(牝、母ラピュセル、美浦・宗像義忠)はエアジハードやペインテドブラックの近親で、タヤスツヨシ産駒という字面以上に奥がありそう。地味で人気になりにくいですが、常に上位に入ってくるタイプ。イクスキューズっぽい器用さがあります。
2着
ニシノガーランド(牝、父メジロライアン、母サーニャ、美浦・武藤善則)は、前走の未勝利戦勝ちをここで高評価していました。今回は渋った馬場にも助けられた感はありますが、やはり切れる馬。惜しかったのはこちらも前走で高評価した3着
マルターズオリジン(牝、父Swain、母Affirmed Halo、美浦・水野貴広)。雁行の2番手という厳しい位置に入ってしまい、外へ持ち出そうとしたらニシノにずっと寄られて追いづらいシーンがありました。決して株を下げる内容ではありませんでした。
京都は、東京ほど注目馬は集まりませんでした。ここではふた鞍を挙げておきます。まずは日曜5Rの新馬戦(芝1800m)。勝ち時計1分50秒9は見所ありませんが、これは前半63.6秒の超スローだった影響。勝ち馬
ダイシンプラン(牡、母ダイシンシルビア、栗東・松田博資)には目を見張りました。スタートで安目を売って大きく離れた最後方。絶望的な位置から、上がり推定33.4秒の脚でゴボウ抜き。おそらくこの馬の最後の1Fは10秒台の脚をつかっていることでしょう。タイキシャトル産駒が1800mでこんなに切れたのを見るのは初めて。さすがにここまで切れると、距離の融通性はよくて2000mまでだと思いますが、脚元さえ無事ならかなりの出世が見込めそうです。大物か。
最後は日曜9Rの黄菊賞(芝1800m)。札幌で底が見えたかに思えた
ヤマニンキングリー(牡、父アグネスデジタル、母ヤマニンアリーナ、栗東・河内洋)が豪快に差し切り勝ち。ただし、多少は展開に恵まれた面が否めません。ヤマニンメルベイユの半弟で、ゴール前平坦の広いコースが向くタイプでしょう。
今回に関していえば、勝ち馬より評価できるのは2着
トールポピー(牝、父ジャングルポケット、母アドマイヤサンデー、栗東・角居勝彦)です。速い流れを早めに動いて自ら勝ちに行き、仕留める寸前で差されたものでした。負けてなお強し。全兄のフサイチホウオーよりも、指示に従う素直さがあります。2000m以上で真価発揮か。そして3着
グリフィス(牡、父アドマイヤベガ、母ハリウッドレビュー、栗東・浅見秀一)は2番手から粘り込んでもので、展開面でのシンドさはこれが一番。
前回も書きましたが、とにかく盛り上がってきた2歳戦線。残り2週の秋競馬では、新馬戦もそうですし、またデビュー馬の試金石も増えてきそうで、とにかくチェックを怠れません。
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