今年も残りわずか。「ただ今日今時(こんにちこんじ)を修(しゅう)すべきなり」と迫ってくる。明日があるからという思い、追いつめられて薄らぎ、切なる気持ちが強くなっていく。師走とはそういうもの、悔いのない一年にするための残りわずか、精一杯の日々が続いていく。
精一杯と言えば、競馬の中にもその慌しさがある。一年のけりをつけるべく、必死の戦いが見られ、それが思わぬ高配当を生んでいる。しかし、それはそれでいい。互いに必死なのだから、こっちの思いと一緒。負けずに必死になればいいのだ。
そうした中、来春のクラシックに夢を抱く2歳馬たちのレース、中でもタイトル戦には特に熱いものを感じる。
阪神JFを勝ったトールポピーの角居調教師は、抽選をくぐりぬけて出られたことがうれしかったと語った。出られればこの馬の力を試すことができる。4連勝で今年のクラシック戦線に登場したフサイチホウオーの全妹なら素質の高さを認めていい。同じ厩舎の一年先輩、ダービー馬ウオッカに続けとばかり、1勝してから次に選んだレースが1800mの京都の黄菊賞。牝馬でありながら牡馬に伍して戦って同じく2着と、全く同じローテーションを踏んでいた。
これで、阪神JFを勝つにはこれがいいと、ウオッカ、トールポピーはひとつの典型を示したようなものだ。
さて朝日杯FS。ここ2年とも、前走が1800mの東スポ杯2歳S組が勝っている。精一杯の必死の戦いをするにはこれがいいのか、そこまで考えてみたくなる。似たような事態を招くことの多い競馬のこと、来春の目途を立てるべく懸命になる中、それなりのけりをつけるには、良き前例にしがみつくこともあっていい。
悔いのない一年にするためにという思いは、年の瀬の2歳戦に色濃く現出される。