間もなく新しい年を迎え、様々な思いが交錯する。中でも、有馬記念の結末、あれは、一年の競馬を具現したもので、結局のところ、王道を突っ走ったものが見当たらない一年だった。
64年ぶりに牝馬でダービー馬となったウオッカの奇跡は、史上初の3歳牝馬の有馬記念ファン投票第一位を生んだが、最後の最後まで、全国の競馬ファンの心はウオッカから離れることはなかった。
牡馬の中に、オールラウンドの力を見ることができなかったということだろう。
競馬のスピード化が進み、ジャンル別の競走が成熟するにつれ、よりどの距離をめざすことで活躍の場が広まるか、その探求がどんどん深まっていくようだ。日本の競馬は確実に動いている。
これから、父内国産馬限定競走及び市場取引馬限定競争がなくなる。それぞれの奨励の意味がなくなったことで、必要としなくなったのだが、ノーザンテースト、サンデーサイレンスといったスーパーサイアーの遺したものが如何に大きかったか。日本の馬産そのものの体質が強くなっていく下地はできたと判断したい。
そして、これから日本の競馬の向かうところは、当然世界になる。
JRAの土川理事長は、パートI国となった今、今後は世界の競馬をリードしていく存在になることと、日本の競馬が世界のチャンピオンホースを決定するような場になることを目指していきたいと述べている。
世界の競馬カレンダーを大きく見る中に、春の「アジアマイルチャレンジ」、秋の「グローバルスプリントチャレンジ」があり、それに凱旋門賞、ブリーダーズCが続き、そして新しく「ジャパンオータムインターナショナル」シリーズが続くことになった。
さらには、メルボルンC優勝馬の春の天皇賞招待が加わり、ステイヤーの集結を目論む。新しい時代への期待は高まる。