競馬には様々なサークルがある。放送、新聞の担当者が集まる記者クラブは、各種サークルの中でも1番目につく存在だが、調教師会、騎手クラブなども一種のサークルではある。しかし、これらはいずれも同一職業者たちのパーティーで、あって当然というものだ。これらとは別に、各競馬場ごとに馬を所有する人達がつくっているのが馬主協会で、中央競馬を行なっている全国10か所にそれぞれある。今年は、そのうち4つの馬主協会が創立60周年を迎えるとのことだが、先日、その先陣を切って社団法人東京馬主協会の記念式典、祝賀会が都内のホテルで行なわれた。
全国の馬主協会の中でも、この東京馬主協会が規模としては一番大きく、現在500名近い会員を擁している。昭和24年に創設された東京競馬場馬主会が前身で、日本の競馬振興の一翼を担い、常に各地の馬主会をリードしてきた。
歴代の会長をされた方々の中には、映画の大映の永田雅一氏、後に総理大臣になった田中角栄氏などが名を連ねている。
会員の多くは一国一城の主で、競馬を愛し馬を愛する一点で会の和を保つことに腐心されてきた。純粋に馬が好きなのだという人たちの集いだから、競馬の話をしているときの顔は、いつも輝いている。経済という面ではとても成り立つものではないが、それは度外視して、馬主であることのステータスを楽しむ心意気、それが強い支えになっているのだ。ある面では、こういう人たちの存在があって競馬があるとも言えるのだ。
競馬全体を考えるとき、この馬主たちの影響力を無視することは出来ず、逆に言えば、この馬主会の品格がどうであるかで、今の競馬の品格も決まるとも言える。より馬を語り、互いに語り合うことで、ゆとりのある雰囲気を醸し出していただきたい。創立60周年のお祝いの会では、いずれも笑顔にあふれていたのが印象深く、これぞ馬主会と感じた。