先週は、牡牝それぞれ注目のレースが、ともに順延されて月曜日に行なわれました。まずは大波乱となった共同通信杯から見ていきましょう。
ショウナンアクロス(牡、父ダンスインザダーク、母バブルウイングス、美浦・大久保洋吉)の逃げは33.9-58.5秒のハイラップ。2F目から10秒台が2度続くという玉砕的なものでしたが、これはかんぐれば、折り合いに難のある
ショウナンアルバ(牡、父ウォーエンブレム、母シャンラン、美浦・二ノ宮敬宇)をアシストするためのものだったと思えなくもない…というか、おそらく当たりだと思います。
この流れにショウナンアルバはガッチリ乗って中団でシッカリ折り合います。
サダムイダテン(牡、父フォーティナイナー、母ウメノダンサー、栗東・中村均)もこの流れならシンガリから3頭目前後の位置取りは正解。4角でのポジションも間違っていません。にもかかわらず、グッとギアが入りかけながらラスト200mは完全に失速しました。私は土曜の「競馬予想TV」で、「サダムの賞味期限はこのレースまで」と述べましたが、このレースですら保たないとは思いませんでした…。
考えられる理由はいくつかあります。速い流れが苦手。左回りがダメ(コーナーは巧く回ってましたが)。順延が堪えた(この日は他の関西馬も壊滅状態)。後日故障が判明…などなど。ただ故障以外が理由なら、間違いなく言えるのは、混戦の一角を占める程度の力量に過ぎないということでしょう。血統的にはバランスの取れた配合ではありますが、まだ3戦目とはいえ早熟度が高い配合でもあるので、今後の伸びしろは厳しいかもしれません。
勝ったショウナンアルバは前走勝ちの時に、
エリモファイナルの1000万下のラップと比較して、その優秀さを指摘してはいました。ただ時計の速さに対応できるか、次走が試金石としたのですが、これを一発クリアしたのはさすが。20世紀を代表する名マイラー、Brigadier Gerardの5×3という配合から、距離的にはこれくらいまでという感じもあります。むしろNHKマイルCで期待できるタイプではないでしょうか。
2着
タケミカヅチ(牡、父ゴールドアリュール、母カズミハルコマ、美浦・大江原哲)は、かなり評価を下げてしまっていたので、ここで2着に走られたのは驚きでしたが、平坦巧者ということは前に指摘したので、急坂のない東京で甦ったということでしょう。中山では厳しいという見解は変えません。なお
サブジェクト(牡、父フジキセキ、母アランセラ、栗東・池江泰郎)は、時計の出る馬場では目下対応できません。道悪要員でしょう。
牝馬戦線からは、昨年
ウオッカを出したエルフィンS。メンバーの質は今ひとつでしたが、
ポルトフィーノ(牝、父クロフネ、栗東・角居勝彦)の復帰戦として注目度は大でした。レースもそのポルトフィーノが、危なげなく快勝。ただ時計は1分36秒3と平凡で、馬場差を考慮してもインパクトに欠けるもの。次走はチューリップ賞だと思いますが、エアグルーヴの仔はどうも春のクラシックには縁が薄いので、過信は禁物という気がしてならないのですが…。
その他のレースから軽くさらっておきましょう。この辺からも、まだまだ本番に間に合うかもしれない世代です。土曜東京、芝1400mの牝馬限定500万下、春菜賞の
ソーマジック(牝、母スーア、美浦・田村康仁)が、血統から予測できるように芝替わりで本領発揮。シンボリクリスエスにFairy Kingの肌なので、2000mくらいまでは問題なしでしょう。1分22秒8の時計の価値は、馬場差を考慮すれば古馬500万勝ち負けクラスと見ていいです。
東京の芝からはもうひと鞍、月曜の芝2000mの新馬戦から面白い馬が勝ち上がりました。
ティアップドラゴン(牡、美浦・奥平雅士)はアグネスタキオンに母ザラストドロップですから、スカーレット一族の縁者となります。スローのために時計は2分6秒台と遅いですが、上がりは弾けました。終始大外、超スローのシンガリ付近待機から、直線大外ゴボウ抜き。2000mベストの匂いがしてきます。トライアルに間に合って権利が取れれば?
あとは京都の日曜、ダート1800mの未勝利戦をぶっちぎった
フサイチクリヨン(牡、母リボーズシークレット、栗東・角居勝彦)。アグネスタキオンにデインヒルの肌ですが、芝では今ひとつで、ダートで開花しました。ただ脚抜きが良い馬場でこそのタイプでしょう。1分54秒1は、時計の出る高速馬場を踏まえても、こちらも古馬500万下勝ち負け級の時計だと思います。
いずれにせよ、牡馬も牝馬も、現状はまったく柱が見えてこない稀有な年となりそうです。
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