2月も下旬になろうというのに、一向に寒さは和らいでくれない。光の春、梅見月はどこにいったのか、愚痴のひとつでも言ってみたくなる。いつまでもこんなである筈はなく、確実に気温は上がってくるのだから、じっと我慢さえしていればいいのだと気を取り直していくしかない。
この陽気に合わせるようにして、3歳牡馬クラシック戦線も冷え切ったままだ。共同通信杯、きさらぎ賞が終わったのに、大きく話題にしたい馬がいない。もしかしたら目の前で起こっている変化に気づいていないのか。そう考えてみる必要もあるのではないかと、ここは少し発想の転換に挑んでみたい。
1月、2月とこれまでに終えた4つの重賞を見て例年と一番異なるのが、冬期のこの時期のステークスなのに出走頭数が多かったということだ。この先のチャンスを求め、少しでも前進させておきたい、そう思う馬が多いと考えれば、この春のクラシック路線はいつも冷え切っているのではなく、むしろホットで厳しいのだといえる。馬のレベルが均衡化しているとも考えられ、それも高いレベルで競り合っているのだ。
スーパーサイアー、サンデーサイレンスが長く君臨するうち、これに立ち向かう勢力も力をつけてきていたのだとはいえないだろうか。どの世界でも、レベルアップの要因としてけん引車の存在があるものだ。その産駒がいなくなれば、様々になっても不思議ではない。多頭数のしのぎ合いが続く中、3歳世代のステークスウィナーが全て異なるという現象を産んでいるが、これこそ望ましいことではないか。候補馬が沢山いることで、そこから抜きんでる厳しさが増し、レースの厚味がましているのだ。
予想者には、基準となるレース、馬が定まらないような状況は不都合だと思うが、それだけ試練のときを迎えていると考え、新たな展開に期待してみたい。