先週からいよいよトライアルがスタート。中でも、本番へ向けて重要なレースが牡牝ともに行なわれました。
まずは牝馬のチューリップ賞。阪神JF上位馬は2、3着に止まり、勝ったのは
エアパスカル(牝、母ラフィカ、栗東・池江泰寿)でした。36.1-61.3秒の超スローペースの逃げから、上がりを34.5秒でまとめ、トールポピー、オディールの追撃をギリギリで振り切りました。資質は以前、未勝利戦勝ちの時に評価しましたが、今回はスローの逃げがハマっただけ。本番へ結びつけるのはかなり難しいのではないでしょうか。それにしても恐るべしは種牡馬ウォーエンブレムです。
2着の
トールポピー(牝、父ジャングルポケット、母アドマイヤサンデー、栗東・角居勝彦)は早めに動き、4コーナーでは楽勝かという位置取り、手応えに見えましたが、そこからがモタモタ。なんとか2着を死守した印象で、一時は3着かという鈍さを見せていました。たしかに休み明けではありますが、自分で動いて行くとひと息甘くなる可能性は捨て切れなくなっています。
3着
オディール(牝、父クロフネ、母キュンティア、栗東・橋口弘次郎)。阪神JFではハイペースを前々で運んでの粘り、今回はスローを後方待機で、前が止まらない展開ながら、エアパスカルの上がりを1秒、トールポピーを0.6秒上回る、推定33.5秒の上がりで追い込んでの3着。阪神JFとは対照的な内容で、またしても負けてなお強しがふさわしいレースでした。
このレースを見れば、オディールがもっとも厳しい競馬をしたのはたしかですが、この鬼脚はさすがに次走へ向けての反動が心配です。中間の調整過程には注意が必要。もともと鋭い脚が使えないうえに、上積みの小さいクロフネ産駒がこんな競馬をしたこと自体も、気に掛かります。
4着以下は、本番への出走がもう難しいでしょう。
スペルバインド(牝、父ゴールドアリュール、母デインスカヤ、栗東・長浜博之)は忘れな草賞かフローラSで期待。
ギュイエンヌ(牝、父タニノギムレット、母スギノトヨヒメ、美浦・萩原清)は34.0秒で上がっているのですが、あの位置取りでは話になりません。もっと積極的に乗られれば、重賞級の力は持っています。
続いて牡馬の弥生賞。例年より時計が半分くらい掛かっている馬場を考慮すれば、この2分01秒8の勝ち時計は例年並みの評価はできると思います。
マイネルチャールズ(牡、父ブライアンズタイム、母マイネプリテンダー、美浦・稲葉隆一)の長所は、以前からここで高評価しているように、とにかくレースが巧いこと。ペースに拘わらず好位を立ち回り、しかも直線でコースロスなくひと脚使うことができます。混戦で卓越した馬がいないクラシック戦線だけに、こういう馬が一冠を持って行ってしまう可能性は否定できないでしょう。ただ、当該週の追い切りを手控えられたのに減った馬体は心配。こちらも中間には目を光らせたいところです。
2着
ブラックシェル(牡、父クロフネ、母オイスターチケット、栗東・松田国英)は、いつもよりも前につける競馬で権利獲りに徹した印象。それでも、やはりマクるスタイルに頼って走らざるを得ません。マイネルとは対照的に不器用なタイプ。しかしコーナー4つのこの舞台は合っているようで、皐月賞でも少なくとも掲示板は堅いような気がします。唯一、内枠を引いた時がピンチか。
3着
タケミカヅチ(牡、父ゴールドアリュール、母カズミハルコマ、美浦・大江原哲)は、広いコースでこその馬ですし、直線に坂のあるコースも合わないと思いますが、今回中団からの競馬で結果を出したのは収穫でしょう。ただし、皐月賞で勝ち負けするには、ワンパンチ足りません。このままでは3着候補の一角。
あとの馬では皐月賞では厳しいでしょう。
キャプテントゥーレ(牡、父アグネスタキオン、母エアトゥーレ、栗東・森秀行)はやはりマイラー。
フサイチアソート(牡、父トワイニング、母アーネストデザイア、美浦・岩戸孝樹)は、休み明けにしても負けすぎです。当日のグリーンチャンネルのレース展望でも申し上げたのですが、東京スポーツ杯2歳S組は高レベルといっても、その後重賞で連対した馬たちが、
ゴスホークケン(牡、父Bernstein、母Allthewaybaby、美浦・斎藤誠)を除いてみな新興勢力に敗れての2着だっただけに(
ダンツキッスイ(牡、父シンボリクリスエス、母サンフラワーガール、栗東・橋本寿正)は以前あしらわれた馬を大逃げで封じただけ)、上がり馬に比べてアドバンテージがある組だとはまったく思っていませんでした。ちょっと前評判が高すぎた感じ。
もうひと鞍、阪神のアルメリア賞。前走は後ろに構えすぎて前を捕まえ損ねた
レッドシューター(牡、父Red Ransom、母Aspiration、美浦・藤沢和雄)が、普通に乗られたら普通に強かったですね。余裕を持っての追い出しで上がり34.4秒。まだ指示に対して遊ぶところもあり、フラつくシーンもあったりで幼さがありますから、まだまだ良くなります。皐月賞へ無理に間に合わせず、ダービーへ目標を絞ってほしいところです。
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