今年で4回目を迎えるJRAブリーズアップセール(4月28日、中山競馬場)に上場される80頭の2歳馬のうち、日高育成牧場で昨年来調教されてきた56頭が、去る4月14日、関係者にお披露目された。
その昔、「抽選馬」として東西に配布されていた時代から、4月のこの時期には各馬の生産者を始め、多くの関係者に、すっかり逞しくなった2歳馬たちを展示する行事が続けられてきた。
現在は、“抽選配布”ではなく、JRA主催の市場にて、売却されるようになっているのは周知の通りだが、全国各地で行われる2歳馬トレーニングセールに先立って開催される市場とあって、その動向が毎年注目される。
14日は、朝からあいにくの空模様で、雲が厚く肌寒い天候。午前10時より4班に分かれて展示会が始まった。牡30頭、牝26頭をそれぞれ2グループずつに分け、1グループあたり13頭〜15頭ずつがそれぞれ係員に引かれて登場した。
天候がすぐれなかったせいか、今年の来場者は昨年よりもやや少ない200人弱。しかし、それぞれ目当ての馬を熱心に見て歩く中央の調教師やバイヤーの姿を見かけた。
4グループによる比較展示は約1時間で終了し、その後、敷地内の1600mダートコースにて「騎乗供覧」が行なわれた。
56頭のうち、13頭(牡9頭、牝4頭)は様々な事情により、比較展示のみとなり、騎乗は実施されずに終わった。現時点では無理をさせたくない、という配慮? から、残る43頭が3つのグループに分かれ、僚馬と併走という形で次々に登場し、ゴール前1Fのタイムが計時され発表された。
各馬の仕上がり程度はかなりまちまちで、12秒台〜14秒台。騎乗供覧の途中より小雨のぱらつく空模様となったものの、多くの関係者が熱心に見学していた。
なお、昨年のブリーズアップセールは、80頭中、69頭が上場され、60頭が落札。その後、各トレーニングセールなどで最終的に73頭が売却された。そのうち、中央競馬には69頭が登録され、56頭が出走し、3月末までに12頭が14勝を上げている。
主な活躍馬は、先週の「桜花賞」にも出走したデヴェロッペ号で、6戦2勝。新馬と菜の花賞を勝っており、デイリー杯2歳S・4着の実績もある。収得賞金は3205万7千円。父ボストンハーバー、母ショウエイミズキ。日高町の福満牧場生産。因みに、この馬はブリーズアップセールを欠場し「ひだかトレーニングセール」(ひだか東農協・主催)にて何と221万円で落札された馬である。
221万円といえば、もちろんトレーニングセールでも最低ランクの価格帯で、他に競りかけてくる購買者がいなかったとはいえ、「掘り出し物」であった。
それにしても、本番を欠場し他のセールに回らざるを得なかった馬が、現時点で最も多くの賞金を獲得しているのは何とも皮肉な結果と言うしかないが…。
各馬は20日より、中山競馬場に向け、移動を始める。市場取引馬奨励賞が廃止されてから初めての市場となる今年の「ブリーズアップセール」。いったいどんな結果が出るものか。