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果たしてこの春は

  • 2008年04月30日(水) 21時50分
 道は遠い、上には上がある。いつだってあと一歩と思い知らされる。様々な場面で体験してきたこれらのことごと。そうした中で、いまもって生き残っているものがいくつかある。やっていて面白いと感じるからだ。今度こそと思って。

 その最たるものの中に競馬はあり、今は春の天皇賞で頭が一杯だ。この日本で一番長い距離のGI戦。ステイヤーの出番と意気込んで、これまで何度も転げてきた。

 最初の1000m、真ん中の1000m、そして残る後半と分けて考え、その中で真ん中の1000mが極端にペースダウンすることが多く、最後の1000mで少しずつペースが上がっていく。前半から中盤と楽していたので、どの馬にも脚が余っているから、ペースが上がっても、馬順が大幅に入れ替わることがない。あれよあれよとゴールを迎えてしまうという結末。なんとかならなかったのかという思いを残して。果たして、この春は。

 これまで面白いなと感じた春の天皇賞の中でも、これぞと思わせたレースは、ライスシャワーが勝った1993年の1戦。メジロマックイーンの春の盾3連覇を阻んだあのレースだ。ペースが緩みそうになるのを、そうはさせじと自ら動いて先頭を脅かし、直線ではそのまま他馬を圧倒したシーン。これぞ、ステイヤーの資質を競ったものと、鮮明に記憶している。

 長距離戦は、ステイヤーの資質を問うレース内容であってほしい。いつもそう願ってきたが、スピード化が進んだ現在、主流が中距離戦に移り、それに見合った馬が多くなった。

 もしかしたら、そういう馬ばかりの長距離戦になっているのかもしれないのだ。

 かくかくしかじかの背景があるのは分かっていても、あくまでも、自分の心と頭と目だけは自分のものとして、長距離戦の理想、夢は追い続けていきたい。自信を持ってこの距離に立ち向かう人馬がいると信じて。

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ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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