ことさらな為業(しわざ)のない無為の行動こそ、真実の道のはたらきを生み、ことを立派に成し遂げると教えている。多くのことに通じていくこの哲学は、競馬の勝利の姿によく見る。
為さずして為すという考え方は、とても分かりにくい。とにかくなにがなんでも為すことにしか価値を見出さない日々を送っている者にとり、この無為にして為すという原理をどうとらえたらいいのか。ただひとつ、はっきりしていることがある。
それは、自然に逆らって何かをやろうと仕組んでも、ことは成らないということだ。為すことばかりに心を注いでいる者は、決してことは成就しないし、すぐ行き詰る。これは長く生きていると身についてくる考え方なのだ。これが競馬の中にも生きている。
ウオッカという牝馬は、一種の天才だと思うが、とても自我の強い馬ではないかとも思っている。
周囲が期待し、こう走らせようと仕組むとそうはならない。レースでもからだを消耗させてしまう。安田記念を勝つまでの、この1年の不運は、ダービーをあのように勝ったために起きたのだと思う。どんなシーンになろうとも、きっと差しきってくれる。それこそがウオッカなのだと、大きな期待を集めていく。その為に、為すことが強く前面に出ていくのだ。
安田記念のあの勝利の姿は、実は、ダービーを勝つ以前のウオッカの姿なのだ。マイル戦で圧倒的に戦績がいいのは、それまでの為すことのない走り方が出来ていたからだ。大一番のダービーの勝因は、無為の戦いが出来たからで、その後の数戦は、中距離を意識したこだわりが、あの結果になっていて、為すことに執着した姿ではなかったかと思う。
為業のない無為の行動は、競馬では人馬一体の呼吸を生む原動力であり、それによって成し遂げるものは、どれほど大きいか。
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