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そろそろ始原に返る必要性があるのでは

  • 2008年06月18日(水) 16時45分
 始原に返る、物事が行き詰った時思いつく人間の知恵は素晴らしい。そもそもについて思い起こせば、そこに一条の光が見えて来て、それまでどう動かしようもなかった観念が動き出すことがあるのだから。

 満ち足りて、何もかもが蔓延した状況に陥って久しい気がする。やがて、これでいいのかと自問するようになる。どうしたらいいのかと感じたら、やはり始原に返ることになるのだ。

 かつて、中央競馬実況中継をレギュラー化したときのラジオのタイトルコールにこんなのがあった。「世界の競馬、キングオブスポーツ、中央競馬実況中継」と。このアナウンスがあってスポーツテーマ音楽が出てくるのだ。昭和31年10月のことだ。

 当時、日本で初めて長時間の競馬中継をレギュラー番組としてスタートさせた日本短波放送(現在のラジオNIKKEI)では、全く初めてのことでどのような放送番組にしていったらいいのか、試行錯誤をくり返していた。そんな中で、競馬に対する理念をしっかり伝えたいという志から生まれたのが、そのタイトルコールだったのだ。

 世界中が注目しているスポーツの王様、それが競馬なのだという強い思い、心意気がこのタイトルコールに象徴されていた。

 この理念の中から生まれたプログラムが、以後の競馬中継番組の基礎になったといっても過言ではない。どの競馬番組にも、その思いが底流にある筈なのだ。

 今、馬券の売り上げの低下が叫ばれて久しいが、そのことのみに気を取られ、長い時間をかけて競馬に貢献してくれる物事、考え方を疎かにしているのではないかと思う。競馬の持つ文化としての側面、それは、競馬に対する誇りであり、長い時間をかけて築いていくものだと思う。速効的に競馬をとらえてきた結果が、今の状況であるならば、そろそろ始原に返る必要性があるのではないか。

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ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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