全国的に台風の影響が大きかった今週。栗東も大雨の影響を受けており、9日の追い切りはどの馬場でも時計を要する状態。ここ数年はほとんど基準時計より速い数字をマークできる状態だったCコースも、さすがにこの日は時計を要した。
ただ、9日も午前中には雨が上がり、午後からは日差しが出る時間帯も。その効果なのか、10日の追い切りは普段のCコースに近い状態。坂路馬場に関しては、Cコースほど時計が出やすいウッドチップに回復したという印象はない。
【坂路/4F51.9秒】
9日。一番時計は
マテラアリオン(栗東・
森秀行厩舎)の4F49.4秒だったが、二番時計が4F52.0秒の
アレット(栗東・
岡田稲男厩舎)なので、49.4秒が例外だと判断した方がよいだろう。4F52秒台も決して頭数は多くないので、久しぶりに時計を要する馬場だった。
さすがに最後の1Fで11秒台を刻んだ馬はおらず、12.2秒が最高。この数字をマークした
マヤノリュウジン(栗東・
庄野靖志厩舎)は8歳馬。
セントウルSには3年連続での出走となるが、まだまだ元気いっぱい。体重の軽いジョッキーが跨っていたので、時計が出やすかったということはあるが、きれいな加速ラップを踏んだ点も評価したい。
10日。一番時計は
フォーチュンスター(栗東・
鈴木孝志厩舎)の4F51.5秒だったが、自己ベストが4F49.6秒の馬なので、やはり時計を要する馬場状態だったと考えてよい。
セントウルSに出走予定の
ミッキーラブソング(栗東・橋口弘次郎厩舎)は
ミッキータイガーとの併せ馬。終始楽な手応えで併走しており、最後もほぼ同入。4F54.5秒という全体時計は地味だが、使い込まれていても、疲れはないのだろう。
この日の最後の追い切りは
ハクサンムーン(栗東・
西園正都厩舎)。スタートをゆっくり入るのはいつものこと。2F目から徐々に加速して、後半2Fのスピード感は抜群。だからといって、目一杯に追われているわけではないし、余力も十分。それでいて、2F24.3秒をマークするのだから、これはもう貫禄の走り。9日よりも走りやすい状態だったことは間違いないが、自身の状態が万全だという証拠だろう。
先週の馬場差が「+0.2秒」。9日の馬場差は『+1.2秒』。10日に関しては、2F時計の出方を見ていると、9日よりは多少回復した印象もあるので『+0.8秒』で馬場差を記録している。
【CW/5F66.5秒】
9日。ラスト1F11秒台は決して難しくないCコースだが、それは普段の話。この日に限っては、ラスト1F11秒台をマークする馬は6F85秒以上と非常に遅い全体時計になっている。前半からある程度飛ばしていくと、必ず終いは止まるような馬場。本当に久しぶりに時計を要する状態だった。
そんな中で6F85.5秒、1F12.1秒を馬なりで動けた
プリメラアスール(栗東・
鈴木孝志厩舎)。気難しいタイプではあるが、追い切りの動きを見ていると、十分にオープンで通用するものを持っている。自己条件に出走するようなら、あっさりと決めてほしいくらい。
10日。馬場は回復傾向。別トレセンニュースでもお伝えしたように、秋のG1戦線を目指す馬たちの動きは良好。同じ路線に乗っていきたい、また乗っていけそうな馬が
スティーグリッツ(栗東・
友道康夫厩舎)。
ムスカテールを追走する併せ馬だったが、最後まで楽な手応えで先着。緩急のついた走りで、ラスト1F11.7秒はさすが。早く秋緒戦の走りを見てみたい。
先週の馬場差が「-0.6秒」。9日は全体的な時計の出方を見ても、時計を要する状態なので『+0.6秒』。10日はかなり馬場が回復しているので『-0.1秒』で馬場差を記録している。
【DP/5F64.5秒・D芝/5F63.0秒】
今週の芝馬場は最近では例がないくらいの頭数が増加。ただ、馬場状態は非常に悪く、最後の1Fが12秒台は当たり前。新馬などは1F13秒台を要しており、ウッドチップ馬場の代替としての役割は果たせていなかったように思う。ただ、
ストレイトガール(栗東・
藤原英昭厩舎)のように、あまり強い追い切りが必要なかった馬にとってはよかったかも知れない。
馬場差に関しては、9日は『+3.0秒』。10日は掘れた部分も修正されていて、前日よりは多少時計が出る状態なので『+1.5秒』で記録している。
ポリトラック馬場の追い切り頭数は久しぶりに増えた。5Fの一番時計は
ニホンピロアワーズ(栗東・
大橋勇樹厩舎)だったが、動き自体は相変わらず良好。馬場差は9日、10日とも『-1.0秒』で記録している。
※調教馬場横の数字は基準時計。この数字以下の時計であれば、標準より速い時計と判断してよい。(取材・写真:井内利彰)