5日午前0時すぎ、
スプリンターズSを制した
ストレイトガール(牝6、藤原英厩舎)が栗東の自厩舎に帰厩した。一夜明けた午前8時ごろ、担当の田中博司助手は厩舎内を歩かせて歩様を確認していた。レース中に右前脚に外傷を負ったが、馬自身は目立って疲れた様子を見せなかった。
「外傷は球節の内側。おそらく自分の後脚とぶつかったのでしょう。このあとは、週中にいちど跨って様子を確認したあと、週末にリフレッシュ放牧に出ることになると思います」(田中助手)
休み明けの前走・
セントウルSよりもグンと雰囲気がよくなっていたという。
「ひと叩きされた効果でしょう。返し馬の時点で戸崎騎手もかなり自信を持っていましたね。あとは短距離戦なのでゲートで後手を踏まないように、と願っていました」
スタート直後、少し寄られて他馬と接触するシーンがあったが、
ストレイトガールは力強く前進。ポジションを取りに行った。
「僕はゲートについていったのでゲート裏で見ていました。あそこで怯んだら不利だと思いながら見ていましたが、しっかり進んでいったのを見てヨシと思いました。振り返ってみれば、あれが勝因といえるでしょう。状態も条件も揃った中でしっかり力を出し切ってくれました」
その後、田中助手は検量室前へ移動するためにレース中はバスの中で過ごした。車内にレースを中継するモニターはなく、愛馬の様子を確認する術はラジオの音声だけだった。
「(車中で聞いたラジオでは)
ストレイトガールも(僚馬の)
ウリウリも名前を呼ばれず、どのあたりにいるのか状況がつかめなかった。名前を呼ばれたのは、ゴールの瞬間。“勝ったのは
ストレイトガール”と聞いて、優勝の事実は把握したけれど、どのようなレースをしたのかがわからない。だから、検量室前で馬を迎えたときは、GIを勝った実感があまり湧きませんでした(苦笑)」
6歳にしてGI2勝目。そして、次は
香港スプリント(12月13日、香港・シャテイン競馬場)で世界一を目指す。
「昨年は3着。輸送などをいちど経験した分、慣れもある。無事にレースを迎えて、昨年より差を詰めたいですね」
(取材・文:花岡貴子)