春の2冠を制した
ドゥラメンテが骨折により不在のファイナルステージ。混戦の様相を呈するなか、主役を務めるのは
皐月賞2着、ダービー4着の
リアルスティールだ。「何とかタイトルを獲らせてあげたいし、この相手関係なら勝たなければならない」と矢作師は、強い思いを胸にラスト1冠を獲りにいく。
前哨戦の
神戸新聞杯は逃げた
リアファルをとらえ切れず2着。不覚を取った形だが、指揮官の表情に悲観の色は見られない。「1番人気になって、ファンには申し訳ない。でもこの結果には失望していない。展開のアヤだと思います」。
勝つに越したことはなかったが、既に出走への獲得賞金はクリアしていた一戦。前哨戦のテーマは“本番につながる競馬ができるかどうか”で、この点に関しては満足のいく結果が得られた。「あれ以上は逃げ馬を追いかけられなかったが、この馬自身はしっかりと伸びていた。どれかに差されたらショックだったけどな」。確かな手応えをつかみ、トレーナーは前を向いた。
GI初制覇に向けての調整は順調だ。1週前追い切りは福永が騎乗し、栗東CWで6F81秒8-37秒7-12秒3を記録。全兄
ラングレー(4歳1600万下)との併せ馬で2馬身先着を果たした。主戦は「1回使って、余分な脂肪が取れてシャープになった」と体調アップを感じた様子。距離3000mの克服が最大の課題となるが「今まではハミに乗る(ハミをしっかり取る)ように調教をしてきたけど、今は逆のこと(ハミを適度に抜いて力まずに走る)を教えているからね。本当に真面目な馬。頑張って対応してくれようとしている」と、ひたむきに調教に励むパートナーをたたえた。
未知の距離を不安視する声は多い。だが、ダービートレーナーは強気に振る舞う。「実際に3000mを走った馬はいないわけだし、生粋のステイヤーも見当たらない。皆さんが気にするほど俺は気にしていない。むしろ紛れがない分、いいと思っている」。競馬界では昔から“最も強い馬が勝つ”と表現される舞台。最後の1冠は譲れない。
提供:デイリースポーツ