第35回
ジャパンカップまであと10日を切った。このレースに出走予定の
ショウナンパンドラについて管理する高野師を直撃した。高野師はかねてから
ショウナンパンドラを高く評価してきたが、そのボルテージは上がるばかりだ。
「いいですね。怖いくらい、いい状態です」
3歳春は度重なる輸送や道悪などの泣かされ、納得いく状態まで仕上げることができなかった。
「デビュー前から相当高いポテンシャルを感じていましたが、それを思うように引き出せずにいました。もどかしかったです。
秋華賞には間に合いましたが、春のクラシックに出したかったです」
その後、古馬になってから2走前の
オールカマーで久しぶりの勝利を得た。
「古馬になってからは食べた分、しっかり動けるようになってきました。その分、力を出せるようになってきました」
ここまでの間について、筆者は「この秋で変わってきたところは?」と聞いた。ところが、高野師はもどかしそうに答えた。
「実は、この馬について“どこが変わったか”と聞かれること自体が歯痒いです。牡馬相手でも十分パフォーマンスができる馬だと思っていましたからね」
スローな展開だった
天皇賞(秋)。後方からレースを進めたこの馬にとって、負担はあまりかからなかったようだ。
「実質、競馬したのはラストだけでした。レース後、出張馬房に様子を見に行ったらケロッとしていました。本当に競馬してきたのかな?というほど遊ぶ仕草をしていましたね。その前の
オールカマーのレース後の方が明らかに疲れていたので、対照的でした」
ジャパンカップに向けては、その分状態が戻るのには時間がかからなかった。
「今はとにかく状態が上がっているようにしか感じないですね。ジョッキーの感触も同じです」
消化不良だった天皇賞と違い、
ジャパンカップではレースで完全燃焼してほしいものだ。
「全頭ヘロヘロになるようなレースになってほしいですね。そして、結果を残したいです。牡馬相手でも十分戦える馬ですよ」
(取材・写真:花岡貴子)