アルゼンチン共和国杯(GII)に優勝した
ゴールドアクター(牡4)。JCには参戦せず、放牧を挟んで
有馬記念に向かうことを陣営は表明している。
ジャパンCに出走しなかった経緯を含めて、
ゴールドアクターについて管理する
中川公成調教師に話を聞いた。
デビューは2歳の11月の東京競馬場。芝2000mの新馬戦でデビューし、勝ち馬から0.6秒差の7着だった。年明けの中山競馬場の芝2200m戦で、未勝利脱出を果たした。
「切れはないけど、スタミナがありそうな感じでしたね。体型的にも、そう感じました」
しかし、
ゴールドアクターにはウイークポイントがあった。
「トモが緩かったんです。4歳の初めくらいまでずっとですね」
それでも、昨年秋の
菊花賞(GI)では、
トーホウジャッカルの3着と健闘し、能力の高さと長距離適性を示している。だがその後、
ゴールドアクターは8か月半の長期休養に入った。
「やはり後ろの方に疲れが出て放牧に出ました。途中1度帰厩させたのですが、まだ本物ではなかったので笹針をしてじっくり休ませました」
このオーバーホールが功を奏し、今年7月の函館で復帰した同馬は洞爺湖特別(1000万下・1着)で快勝すると、10月の
オクトーバーS(1600万下)でも昇級戦をあっさり勝ち上がり、
アルゼンチン共和国杯では堂々1番人気に推され、粘る
メイショウカドマツをゴール前でねじ伏せて、見事人気に応えた。
「トモの緩さはだいぶ解消されてきました。あの馬場(重)でも競馬ができましたし、力をつけてきていると感じました」と中川師はレースを振り返る。
アルゼンチン共和国杯(1着)から
ジャパンC制覇と、
父スクリーンヒーローと同じローテーションを歩むのかに注目されたが、放牧を挟んで
有馬記念への出走が決まった。
「
オクトーバーSからアルゼンチンまで中3週でしたし、それで
ジャパンCとなると今度は中2週になります。そのローテ―ションだときついかなと思いましたし、JCに向かわないことはオーナーとも相談して、最初から決めていました」
JCに参戦せずに
有馬記念を選択した経緯を、師はこう説明した。
アルゼンチン共和国杯の疲れを癒した
ゴールドアクターは、来週中に美浦に帰厩予定だ。
「スタートが良いですし、二の脚もあります。道中の折り合いもついて、競馬がとても上手な馬です。今のところは言うことはありません。今度はメンバーが揃いますから、強い馬たちの胸を借りるという気持ちで臨みたいですね」
中川師の言葉はあくまで謙虚だが、レースセンスが高い上にトモの緩さも解消されてきたとあれば、強敵揃いの
有馬記念でアッと言わせる場面があっても不思議ではなさそうだ。
(取材・写真:佐々木祥恵)