背中や手綱から伝わる感触に、名手の頬が緩んだ。
トーホウジャッカルは、新コンビのM・デムーロを背に栗東坂路で
アスカタイシ(3歳未勝利)と併せ馬。僚馬を追走する形で発進し、掛かり気味に差を詰める。ラストで馬体を並べると、追えば楽々と突き放せそうな手応えながら、手綱は最後まで持ったまま。それでもきっちりと前をとらえ、4F53秒0-38秒9-12秒6で併入した。
初騎乗を終え、鞍上は「いい状態。走る馬。反応がすごい。久々も問題ない」と笑顔で声を弾ませる。一昨年の
菊花賞では、昨年の
有馬記念1、2着馬の
ゴールドアクター、
サウンズオブアースを撃破してレコード勝ち。その後は順調に使えていないが、能力の高さは疑いようがない。「うるさいところはあるが、元気な馬。息遣いも大丈夫。体はできていそうだし、楽しみ」と実戦の騎乗を心待ちにする。
一方、谷師は7か月ぶりの実戦に「元気です。ただ、使って良くなるタイプだし、そのあたりは何とも言えない」と慎重な姿勢を崩さない。「先週、乗った藤懸もそうだが、僕が思っているよりも乗り手の感触がいい。それを信じるしかない。次は
天皇賞・春(5月1日・京都、芝3200m)を使いたい。格好はつけてほしいね」。ブランクを物ともせず、貫禄のV発進で完全復活を印象付けたい。
提供:デイリースポーツ