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【ダービー】蛯名悲願達成へ大チャンス

デイリースポーツ
  • 2016年05月23日(月) 06時59分
日本ダービー・G1」(29日、東京)

 ダービーウイークが幕を開けた。13年に生産されたサラブレッド6913頭の頂点を決める競馬の祭典。今年は12頭の重賞ウイナーを含む超豪華メンバーが集った。皐月賞ディーマジェスティで挑むのが蛯名正義騎手(47)=美浦・フリー。今回で24度目の挑戦。誰よりも“ダービージョッキー”への思いは強い。武豊と同期、デビュー30年目を迎えた関東のベテランが、ついに悲願を成し遂げるか。 圧倒的なタイトルへの渇望度が言葉に重みを与える。

「俺も年だから、もう何回チャンスがあるか分からない」。蛯名正義、47歳。四半世紀以上の歳月を、ムチを手に過ごしてきた。まだ見ぬダービージョッキーの景色。“悲願”というフレーズですら陳腐に感じさせるほど、熱い思いが全身を包む。

 デビュー30周年、24度目の挑戦。「今までも一生懸命やってきた。ダービーは勝ちたいと思って勝てるレースではないけど、その気持ちは誰よりも強い」。G125勝の輝かしい戦績を刻んできた関東の名手も、ことダービーに関しては勝利の女神が振り向かない。

 ほほ笑みかけたことはある。フェノーメノと挑んだ12年。わずか23センチ差の大熱戦は、岩田&ディープブリランテに軍配が上がった。そして14年。1番人気の皐月賞イスラボニータは追われる立場ゆえに、ワンアンドオンリーのマーク差しに屈した。「思いだけじゃかなわない。でも、思いだけなら負けない」。発する言葉はどこまでも重い。

 不思議な巡り合わせがドラマを生む。今年の相棒ディーマジェスティは二ノ宮厩舎所属。競馬ファンなら誰もが知る“チーム・エルコン”。99年の凱旋門賞で2着と偉業にあと一歩まで迫ったエルコンドルパサー、そしてナカヤマフェスタ(10年=2着)でも世界最高峰に挑戦し、頂点をつかみかけた。担当スタッフもまた当時と同じ佐々木助手。異国の地で生まれた信頼を胸に、ターフへ向かう。

皐月賞はダービーが楽しみになるような競馬ができればと思っていた。うまくペースがはまったけど、勝てたのは力があったから」とクラシック第1戦を振り返りながら、冷静に戦況を分析する。「やれることは証明できた。その前はどれだけやれるかも分からなかったから。ぼんやりと(勢力図が)見えてきた」。大一番を前にしても、キャリアに裏付けされた冷静さは失われていない。

「色んな人に応援してもらって、それであとワンパンチが来てくれればいい」。ファンの声を力に変え、栄光のゴールへ。蛯名は今年も無我夢中でムチを振るう。

提供:デイリースポーツ

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