今週の栗東も雨。27日こそ雨が降っていないが、それ以降は1日のどこかの時間帯で強い降り方をする雨があった。特に28日、29日の午後から夜にかけてはしっかりと降っている。これだけ雨が降れば、馬場に与える影響も大きく思えるが、気になるほど時計を要する馬場というわけではない。
なお、気温に関しては高くないものの、蒸し暑さは感じる毎日。そろそろ夏負けの兆候が出ている馬もいるようなので、パドックで元気ない様子で汗をかいていなかったり、睾丸が大きく腫れているような馬がいれば、夏負けを疑ってもよいかも知れない。
【坂路/4F51.9秒】
29日。一番時計は4F49.9秒の
ベルカント(栗東・
角田晃一厩舎)。右ラチ沿いを走っての数字だが、これはいつものことなので、この時計が出ているということはさほど時計を要する馬場ではないと判断してよさそう。
ラスト1Fが11.7秒で最速タイが3頭。
グァンチャーレ(栗東・
北出成人厩舎)のように、4F52.4秒と全体がそれなりに速い数字にもかかわらず、これだけ終い伸びているので、むしろ雨が走りやすいウッドチップにしているように思えるくらい。
30日。馬場状態に関してはほとんど変わりなく、ハロー終了直後に関しては追い切りの混雑もないため、時計が出やすい状況。2回目のハロー明けに追い切ったのが、7月13日(水)に
大井競馬場で行われる
ジャパンダートダービー(ダート2000m)に登録している
ダノンフェイス(栗東・
大久保龍志厩舎)。
前に
ラッシングベル、
ヒラボクミライの併せ馬を見て、それを追走する形。残り2Fを切ったあたりから前を捕まえにかかって、最後はきっちりと先着してゴール。時計は4F51.6〜3F38.6〜2F25.6〜1F12.9秒と馬場差を考慮すれば、極端に速い数字ではないが、わざとチップを被るような道中にしたことに大きな意味があるような気がする。
先週の馬場差が「±0.0秒」。天候を考えれば、基準時計よりも遅いという馬場差をつけてよいところだが、全体的な時計の出方を見ていると決して遅くない。よって29日、30日とも『-0.1秒』で馬場差を記録している。
【CW/5F66.5秒】
29日。朝一番の追い切りを見ていると時計を要している印象だったが、それ以降、特に1回目と2回目のハローが終了した直後の追い切りはかなり速い時計が出ていた。2回目のハロー明けだった
コクスイセン(栗東・田中章博厩舎)は
武幸四郎騎手が跨って、ほぼ馬なりの手応えで6F78.6秒をマークしてきた。もともと追い切りでは速い時計が出るタイプなので、この馬の追い切りは馬場差を考慮する際に参考になる。
30日。先週の
宝塚記念を回避し、7月10日(日)福島競馬場で行われる
七夕賞(芝2000m)に目標を切り替えた
マジェスティハーツ(栗東・松永昌博厩舎)が1週前追い切りを行っている。
朝一番の馬場だったが、頭数が少ないこともあり、決して走りにくい状況ではなかった。ただ、最後の直線では少し内にもたれているような仕草を見せ、6F85.8〜5F69.6〜4F54.3〜3F39.4〜1F13.2秒と時計的にも平凡な内容。これなら同じ時間帯に追い切っていた
西園正都厩舎の2歳新馬2頭、
サトノマサムネと
スマートニンバスの最後まで余裕ある走りが印象に残っている。
先週の馬場差は23日が「±0.0秒」。雨の量を考慮すれば、今週は先週より時計を要している馬場差でもよいくらいだが、実際の時計の出方はあまり変わりない。よって、今週は29日、30日とも『-0.1秒』で馬場差を記録している。
【DP/5F64.5秒・D芝/5F63.0秒】
今週の芝馬場は
中内田充正厩舎、
河内洋厩舎が追い切り。ウッドチップと違い、たっぷりと水分を含んでいることで、大きな芝の塊が飛ぶような馬場。かなり走りにくそうに見えるし、実際の時計も遅い。よって馬場差は29日、30日とも『+1.0秒』で記録している。
このところ、ポリトラック馬場は追い切り頭数が少ない。全体的に速い時計が出やすい馬場であることは間違いないが、そんな中でも
高野友和厩舎の2歳新馬
ピンクブリザードは1F11.0秒をマーク。3頭併せの最内だったとはいえ、かなり速いラスト1Fを楽にマークしており、デビュー戦から注目を集めることになりそう。なお、馬場差は29日、30日とも『-1.0秒』で記録している。
※調教馬場横の数字は基準時計。この数字以下の時計であれば、標準より速い時計と判断してよい。
(取材・写真:井内利彰)