「
凱旋門賞・仏G1」(10月2日、
シャンティイ)
ルメールだけではない。
マカヒキのそばには、現地をよく知る男がついている。大江祐輔助手(34)=栗東・友道=は、大学時代に
シャンティイに留学した経験を持ち、
凱旋門賞を何度も現地で観戦してきた。自らの担当馬で、ついにその憧れの舞台に立つ。28日の
マカヒキは軽めの調整。現地紙は紙面を大きく割いて前日の追い切り内容を詳報した。きょう29日には出走馬もほぼ確定(現在17頭がエントリー、枠順確定は30日)。決戦の時は刻一刻と迫っている。
憧れの舞台に戻ってきた。
ディープインパクトの
凱旋門賞を現地で見届けて10年。大江祐輔助手(34)=栗東・友道=は、担当するその息子・
マカヒキと世界の頂点を目指す。出国前の栗東トレセンでは、父に騎乗した
武豊からも「頑張って」とエールを送られた。「ディープの子どもで、自分の担当馬でフランスに帰れるのは本当に幸せ。ありがたい」と感謝する。
日大馬術部に所属し、卒業間近だった05年、
シャンティイに厩舎を構えるトニー・クラウト厩舎に3カ月滞在した。イギリス、アイルランドでも腕を磨き、知人を通じてアイルランドの名伯楽エイダン・オブライエン調教師とも知り合った。「“いつか馬を交えて世界の舞台で戦いたい”と話していたんです」。師は今年、
ファウンドなどを送り込む。積年の目標も実現する。
凱旋門賞は06年から4年連続で現地観戦した。当時の専門紙やレーシングプログラムは今でも大切に保管している。自らの原点とも言えるレースだ。
「海外の競馬を知って、日本の競馬の素晴らしさを客観的に感じました。かつては競馬の後進国だったかもしれない。けど、配合や血統の研究をして、努力して調教法も構築して。まだまだ伸びしろを感じるし、日本の馬は強いと思います」
友道師をして「現地を知る大江の存在はデカい」と言わしめるほど、全幅の信頼を寄せられるVのキーマン。自らの言葉を証明するためにも、愛馬を万全の状態に仕上げるべく、全神経を集中する。
提供:デイリースポーツ