今週の栗東は1日が雨、2日と3日の調教時間中は好天。調教開始前の時間帯は4℃前後というかなりの冷え込みだったので、そろそろ冬毛の目立つ馬も出てくるだろう。冬毛が出たからといって競走能力に影響を及ぼすわけではないが、やはりこの時期で毛艶がくすんで見えるような馬はあまり高い評価はしたくないところ。
馬場状態に関しては、ウッドチップが重たいという調教関係者の話は聞いているものの、時計自体は坂路、トラックともに速い数字が出ている印象。このあたりは各項目で細かく解説したい。
【坂路/4F51.9秒】
2日。一番時計は4F49.5秒の
ヒルノマゼラン(栗東・
昆貢厩舎)。二番時計が4F49.7秒の
ダンツアトラス(栗東・
谷潔厩舎)ということで、4F50秒を切った馬が2頭。これに続く4F50秒台が13頭もおり、先週までに比べて、明らかに時計が出る状態になっている。
もちろん速い時計は朝一番の開門直後やハローが終了した直後ではあるが、
サクラエール(栗東・
羽月友彦厩舎)のように、馬場が荒れた時間帯でも4F50.7秒をマークしており、時間帯によって、時計の出方が違うということはなかったと判断したい。
3日。一番時計は今週の
みやこSに出走予定の
アポロケンタッキー(栗東・山内研二厩舎)。中1週ではあるが、10月30日に一杯に追われて、この日は自己ベストを更新する4F51.0秒をマーク。前日同様、時計の出やすい馬場であることは間違いないが、それにしてもこの攻めた内容は評価したい。
先週の馬場差が「+0.3秒」。2日、3日とも好天だったこともあって、少し馬場が乾いているのか、全体的に基準時計よりも速い数字が目立っている。よって、今週は『-0.9秒』で馬場差を記録することにした。
【CW/5F66.5秒】
2日。この日はCコースでしっかり時計を出したい馬が多かったこともあってか、速い時計が連発。
前日のトレセンニュースでお伝えした
デンコウアンジュ(栗東・
荒川義之厩舎)など、6Fが80秒を切ってくる動きだったにもかかわらず、ラスト1Fもしっかりしているというパターンが多い。
また時計が出ていなくても、軽快な動きが目につくという馬も多数。2歳未勝利だが、
ミズデッポウ(栗東・崎山博樹厩舎)は単走で6F90.1秒とかなり遅い数字だが、動きには躍動感があり、最後の直線でのフットワークは豪快。全く人気にはならないだろうが、状態の良さは強調したい1頭。
3日。別ニュースでもお伝えしたように、
エリザベス女王杯(11月13日・京都芝2200m)の1週前追い切りが行われているが、2013年の同レース優勝馬
メイショウマンボ(栗東・
飯田祐史厩舎)も単走での追い切りを行っている。
2回目のハローが終了した時間帯に
池添謙一騎手を背に入場。いつもと変わらず、前半ゆっくり、後半しっかりの動きで時計は6F79.7〜5F64.6〜4F50.8〜3F37.8〜1F11.9秒とこの馬らしい速い内容。だからといって無理をしているわけでもなく、やはりこれだけの動きができて、どうして結果が出ないのだろうといった感じだ。今回はレースでも同騎手が手綱を握る予定とのことなので、これが何かの転機になればといったところだろう。
先週の馬場差は「-0.1秒」。今週は速い時計を出している馬が今後のG1レース出走を予定していることを考慮すれば、全体として先週より極端に速い馬場になったというわけでもなさそう。このあたりは乗り手の馬場から受けている感触も含めて馬場を検討した。最終的に馬場差は2日、3日とも『-0.2秒』で記録している。
【DP/5F64.5秒・D芝/5F63.0秒】
今週の芝馬場は2日の追い切りが10頭ちょっと。天候は悪くないにもかかわらず、芝の大きな塊が飛ぶという状態は続いている。その影響もあって、全体時計は出ても、ラスト1Fが時計を要する馬がほとんど。よって馬場差は2日、3日とも先週と同じ『+0.8秒』で馬場差を記録している。
ポリトラック馬場は先週までの走りにくい馬場状態が一変し、見た目にも軽快な動きを見せる馬が続出している。よって2日、3日とも『-1.0秒』で記録している。
※調教馬場横の数字は基準時計。この数字以下の時計であれば、標準より速い時計と判断してよい。
(取材・写真:井内利彰)