「
ジャパンC・G1」(27日、東京)
果敢にハナを主張した1番人気の
キタサンブラックが、名手のエスコートで文句なしの完勝を決めた。84年
カツラギエース、03年
タップダンスシチー以来13年ぶり3度目の逃げ切りV。鞍上の
武豊は
ジャパンC史上単独最多となる4勝をマークした。さらなる飛躍を誓う人馬は次走、
有馬記念(12月25日・中山)でG1・4勝目と
年度代表馬の座を狙い、来年以降の海外遠征にも思いをはせる。
迷いはなかった。過去35年で2頭しか成し得ていない逃げ切りV。名手・
武豊は果敢にその戦法に打って出た。最初の1000メートルを61秒7のマイペースで刻むと、抜群の手応えで直線へ。パートナーを馬場の三分どころへと導き、残り300メートルまで脚をためた。満を持して追いだすと、後続の蹄音は遠のいていく。影をも踏ませぬ2馬身半差の完勝劇。府中の長い直線はまさに、
武豊と
キタサンブラックのものだった。
ゴール後、力強く右拳を握った鞍上は、史上初の
ジャパンC4勝も達成。「いいスタートを切って、他に主張する馬がいなければ行こうと思っていた。気分良く走ってくれたし、手応えも良く、自信と余裕を持って追いだせた。直線も距離損と芝の状態を考え、ベストのコースを選んだつもりです」と胸を張る。「今まで乗せてもらった中で一番強かったですね」とパートナーの底力をたたえた。
今年は
JRA所属馬で通算4000勝を達成し、地方重賞100勝など節目を刻み続ける日本競馬界の至宝。国内外で存在感を見せるが、いまだにその歩みを止めることはない。今後の人馬の目標は暮れの
有馬記念制覇。結果次第で
年度代表馬の座も視野に入るとあって、「僕自身この馬とコンビを組ませてもらい、本当に大きな存在と感じている。そこに向け、全力で応えたい」と目を輝かせた。
来年は
ドバイシーマクラシックや
凱旋門賞の挑戦など、海外遠征のプランも浮上している。「当然、意識はします。きょうの勝ちっぷりも良かったですしね」と名手は胸を躍らせ、「北島オーナーなら乗せてくれると思いますし、安心して“行きましょう”と言えます」と笑わせた。まだ、挑戦は序章に過ぎない。人馬の夢は、国内から世界へと無限に広がっていく。
提供:デイリースポーツ