「
有馬記念・G1」(25日、中山)
出走馬中、唯一の3歳馬で1番人気の
サトノダイヤモンドが、
武豊騎乗の2番人気
キタサンブラックをゴール前でとらえて、449億円超が売れた大一番を制した。昨年から日本に拠点を移して騎乗する
クリストフ・ルメール騎手(37)=栗東・フリー=はお立ち台で思わず涙。この秋を3戦負けなしで締めたコンビは、2017年春は国内完全制圧を目指し、秋には日本競馬の悲願である
凱旋門賞制覇に乗り出す。
世代交代へ-。上位馬の力が拮抗(きっこう)した大一番を制したのは、レース直前に単勝1番人気に躍り出た唯一の3歳馬
サトノダイヤモンドだった。この秋を3戦3勝で締めた
菊花賞馬が、ファンの期待に応えた。
中団追走から向正面では早くも最大のラ
イバル・
キタサンブラックをマークする3番手に進出。人気馬3頭が馬体を並べて、たたき合うゴール前。粘り込みを図るブラック、末脚を必死に伸ばす前年覇者
ゴールドアクターを、外から力でねじ伏せるように差し切った。
「あまり話せない。すごくうれしいです」。大歓声を前にしてのお立ち台で、ルメールは思わず涙をこぼした。すぐに冷静さを取り戻すと「キタサンをラ
イバルだと思っていましたから、マークに行きました。4コーナーは(離されて)ちょっと心配しましたが、ゴール前でもう一度伸びてくれた。簡単な仕事でした」。描いていたミッションを完璧にやり遂げ、満面の笑みを浮かべた。
同じ
クリスマス決戦だった05年の
有馬記念。ルメールは当時、無敗の三冠馬
ディープインパクトを、4歳馬の
ハーツクライに騎乗して下した。誰もが目を疑ったシーンから11年、今度は古馬の強豪をディープの子で封じ込んだ。父がルメールに泣かされた有馬を、その子がルメールで勝つ-。血のロマンを感じさせる勝利でもあった。
「あの時は日本で初めてのG1勝ち。もちろんうれしかったですが、今回は騎手生活を日本に
チェンジして勝てた。だから気持ちが違うんです」。昨年、JRA騎手免許試験に合格。日本の騎手として挑んだ有馬を勝利した、その味はまた格別だった。
「スタミナもあって、すぐにいい位置を取れる。
凱旋門賞向きだと思う」。デビューから全戦で手綱を取り続ける相棒とともに挑む、母国フランスの最高峰の一戦に早くも思いをはせる。原石からその名の通り磨き上げられた宝石は2017年、さらに輝きを増して、世界制覇へと乗り出す。
提供:デイリースポーツ