まさに一騎打ちだった。3年連続のリーディングを狙う戸崎圭。JRA免許取得2年目のルメール。どちらがトップの座につくのか-。昨年、最終日の12月25日までもつれこんだリーディングジョッキー争い。歴史に残るデッドヒートだった。
一時、1位戸崎圭と2位ルメールの差は20勝以上もあった。ルメールが戸崎圭を射程圏に入れたのは11月6日。
武豊が持つ1日最多勝のJRA記録に並ぶ“1日8勝”の快挙だ。土日で10勝も詰まり、戸崎圭が157勝、ルメールが156勝となった。
戸崎圭も黙ってはいない。コツコツと勝ち鞍を増やし、11月27日終了時で2位ルメールとの差は5勝まで広がった。そして2度目の波が訪れる。
阪神JFが行われた12月11日。両者がそろった阪神競馬場でルメールが騎乗機会6連勝の固め勝ち。この日の戸崎圭は1勝だったため、ルメールが177勝、戸崎圭176勝と、ついに逆転した。
そして、ルメール181勝、戸崎圭180勝で迎えた最終週。「フランスではリーディングになれなかった。日本ではリーディングになりたい。あと3日。いいチャレンジをして、戸崎さんを
リスペクトして、二人で頑張ります」と意気込んだのはルメールだ。
ラストウィークは23、24、25日の3日間開催。23日はルメールが2勝差でリード。24日は1勝のルメールに対して、戸崎圭が3連勝。戸崎圭が再びトップに立った。その差はわずか1勝。迎えた最終日、1R、2Rと連勝した戸崎圭。ルメールは
ホープフルS、そして
有馬記念と重賞を連勝したが、最終成績は戸崎圭が187勝、ルメールが186勝。1勝が明暗を分けた。
戸崎圭は3年連続のMVJ(Most Valuable Jockey)を獲得。リーディングの座を獲得しながら、制裁点ゼロの特別模範騎手賞も受賞したのは立派の一語だ。ただ、関西のジョッキーは、ルメール、川田、M・デムーロ、福永の4人が年間100勝を超えたのに対して、関東所属のジョッキーは戸崎圭1人だけ。89勝の内田博とは98勝の大差がついた。トップ10までに関西7人、関東3人。関東4位の蛯名は全国13位。激しく勝ち鞍を奪い合っている関西に対して、関東は物足りなく感じる。
16年の勝ち馬は、関東馬が1538勝、関西馬が1920勝。この差は例年通り。G1は関東馬11勝、関西馬13勝。ほぼ五分の数字だが、G1勝利騎手は美浦所属7勝、栗東所属16勝と大きく差が開いた。関東馬が1勝だった05年や、08年(関東馬2勝、関西馬22勝)と、馬が“西高東低”と言われたのは昔の話。しかし、一方でジョッキーはいまだ“西高東低”といわざるを得ない。年明けから活躍が目立つ田辺、松岡、吉田隼ら、02、03、04年デビューの30代前半ジョッキーが奮起し、関東の“1強”を脅かすことを、今年は期待したい。(デイリースポーツ・井上達也)
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