「
ドバイターフ・UAE・G1」(25日、メイダン)
中東の地で日本代表のなでしこが魅せた。
ヴィブロスが、昨年の
リアルスティールに続き日本馬4頭目となる
ドバイターフ制覇。元
メジャーリーガーの“大魔神”こと佐々木主浩オーナーは、1着賞金約4億円をゲットした。秋はBCフィリー&メアターフ・米G1(11月4日・
デルマー)参戦を視野に入れる。メインのドバイワールドCでは、世界最強馬
アロゲートが圧巻の走りで7連勝を達成。4頭が出走した日本馬は
アウォーディーの5着が最高だった。
ドバイの地に“神風”が吹いた。
ヴィブロスが初の海外遠征で大金星。その名を世界にとどろかせた。
大魔神・佐々木主浩オーナーも大興奮のVだ。ゴールの瞬間、硬く握ったこぶしを高く上げて雄たけび。「ホームランを打ちましたね。(海外G1制覇は友道)先生の夢でもあったので祈るような感じだった。本当にうれしい」。目を潤ませながら「小さい体で本当によく頑張ってくれました」と話す加奈子夫人と抱き合って喜んだ。
「野球の方が自分でやれるので楽です。こっちの方が緊張した」。日米通算381セーブを挙げた大魔神。自ら体調管理のできる野球とは違い、競馬は会話のできない馬が相手。その分、愛馬に無理をさせないよう、慎重にローテを選択することに気を配っている。
そのオーナーが運命的に出会ったのが、尻尾の短い姿にひかれた
ヴィブロスの
母ハルーワスウィートだった。牝馬クラシック3冠全てで2着に泣き、13、14年の
ヴィクトリアマイルを連覇した
ヴィルシーナなど、この血を継ぐきょうだいを全て所有。海を渡ったアスリートにとって、悲願でもある海外G1制覇を思い入れの強い血統馬で達成した。
まさに日本が誇る
ディープインパクト産駒の末脚だ。後方のインぴったりを回り、直線は残り400メートル地点で徐々に外へ。最後は風のように差し切った。たった一度の追い切り騎乗で全ての癖を把握したモレイラは、大一番で能力を最大限に引き出した。「
バックストレッチの向かい風が強くて、馬の後ろにつけることを心掛けた」。風よけにラ
イバル馬を利用するしたたかさ。マジックマンの異名を取る香港のトップジョッキーは、ドバイでも神騎乗で魅せた。
歓喜から一夜明けた26日朝は引き運動で疲れをいやした。「いつものように全力を出し切った感じ。まだ信じられない気持ちで夢を見ているんじゃないか」と安田助手は感激に浸る。28日にドバイを出発。一気に世界の頂点に立った
シンデレラガールは、次の戦いを見据えてしばしの休息に入る。
提供:デイリースポーツ